Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    こなもの。

    ラクガキなどをあげる予定です。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 151

    こなもの。

    ☆quiet follow

    クロパパ。クリスマスツリーを眺める二人のお話です。

    ##クリスマス2023
    ##GHS
    ##クロパパ
    ##文章

    2023クリスマス(クロパパ)「ショッピングモールみたいですなぁ?」
    「……そうじゃな」

    ホテルの二階。中庭に面した渡り廊下の手すりには、白い霜が降りている。先程までバーで共に飲んでいたクロックマスターとミイラ父ちゃんは、子ども達が昼間はしゃいでいた中庭の大物を見に、改めてこの廊下に出てきていた。

    中庭の真ん中に飾られたソレは、大きな大きなクリスマスツリーだ。その全長はホテルの二階に匹敵するほどの高さで、昨日タクシーがグレゴリーに言い付けられタイヤと二人、息を切らしながら森から運んだ物らしい。昨晩珍しくバーに来たタクシーが、そうくだを巻いていた。

    今日の昼間、ホテルの女性陣と子どもたちが飾り付けを行なっていて、クロックマスターとミイラ父ちゃんもそれぞれ息子に誘われ、その行事に参加していた。

    昼間中庭から見たクリスマスツリーは下から見るにはあまりに大きすぎて、クロックマスターは何が何やら…と、あまり興味が無かったのだが。二階の渡り廊下ならきっと綺麗に見えますなぁ、と言うミイラ父ちゃんの誘いに乗って来てみれば……その光景に、思わず息を呑んでしまった。

    赤や金に輝く飾りに、ランダムに点灯する電飾の光が映り込み──このいつも薄暗く怪しい空間が、いつもとは別の顔を覗かせていた。こんなにも鮮やかな光を見たのはいつぶりだろうか…と。クロックマスターは凄いな…と口にした。綺麗ですなぁと、ミイラ父ちゃんからも感嘆の声が上がる。煌々と輝くオーナメントに目を奪われて、二人は暫くその光景を眺めていた。

    ──────

    「ハックション…!!」
    「おぉ……大丈夫か?」
    「いやぁ…今日は冷えますなぁ…!」

    ミイラ父ちゃんのクシャミによって静寂が破られ、暫く遠くを眺めて居たクロックマスターは現実へと意識を戻した。そろそろ中に入るか…と、クロックマスターが廊下の扉に手を掛けようとした時、マスターさん、とミイラ父ちゃんに呼び止められる。

    「ん?……どうした?」
    「上を見て下さい…雪ですなぁ」

    通りで寒いワケですなぁ〜と、空を見上げるミイラ父ちゃんは、心なしか嬉しそうに見える。尻尾がパタパタと揺れている辺り、たぶん喜んでいるのだろうとクロックマスターは推測した。

    「クリスマスに雪が降っているのは、なんだか良い気分になれますなぁ…」
    「ホワイトクリスマスか…」

    ホワイトクリスマスの思い出を刻もう。と、現世に居た時は自分の店でも広告を打ったものだ……確か。……そんな気がする。

    「……毎年雪が降ると坊やが、喜んで公園を走り回っていましたなぁ…」

    雪まみれの姿がとても愛らしくて…妻と二人で携帯の待ち受けにしていたんですよ。

    そう、ミイラ父ちゃんは楽しそうに言う。白い吐息が、ミイラ父ちゃんの寒さで赤らんだ頬を撫でて天へと昇る。伏せられたまつ毛に付いた水滴が、瞬きの度にキラキラと揺れて光っていた。

    その光景を目にしたクロックマスターは、一瞬、グラリと眩暈を覚えた。動揺してかぶりを振れば、隣に立つミイラ父ちゃんが、どうしましたぁ?と首を傾げる。

    酔いが回った…と、クロックマスターは呟いた。……嘘は言っていない。先程まであんなに飲んでいたのだから。きっと、そうに違い無い。

    「ハッハッハ!眩しさに酔ってしまいましたかなぁ?」
    「…………あぁ」

    そうかもしれんなぁ…と、クロックマスターは苦笑した。朗らかに笑うミイラ父ちゃんには、きっと今後も敵わない。クロックマスターはそうあることを、静かに願うのだった。


    おわり。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    Yoruma_ma

    DOODLEルマはグノ時、仲良く生き残った乗員をぺろりますがその時何が起こってるか夕里子は知っています夕里子は「どうなってもこの人を信じ委ねる」と決め、ルマを勝たせてくれた
    そして正体を現したルマに消されるのを待つのみ、と大人しくしていた

    でもルマは夕里子を優しく抱き抱えるようにしてベッドに連れていった
    なんとなく何が起こるか、察しはついた
    「すまない、どうしてか我慢ができないんだ。君のことが愛しくて、こうする他にできない気がする、痛くはしない、すまない」
    他に経験はないがおそらくは、ひどく優しくキスをされた

    こうなったのは彼女の背後の悪神のせいに他ならない
    夕里子は理解していた
    認知の歪みを正せばルマは正気に帰るだろうか
    頬に手を添えてルマの認知に触れる
    ルマは不思議そうに目を細め、夕里子の手のひらを舐めた
    とろけた目はうっとりと夕里子を見つめる
    どうやら効果はないらしい

    しばし考え、ひとつの結論に至る
    なるほど、ルマが「夕里子が好き」なことは事実
    あの悪神がやっているのは、その気持ちのタガを外すこと
    認知の歪みはここには存在しないのだ

    「……好きになさい」
    悪神には腹が立つが、夕里子は目の前の女を好いていた
    悪神のことなぞ知らぬ彼女に要らぬ負担はかけるまい。その位の慈愛は持 507