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    mameharuzou

    @mameharuzou

    さくすおにハマっておかしくなってます。受の女体化が大好きです

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    mameharuzou

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    お付き合いしているさくすおのお話。
    招福猫コラボ第三弾の蘇枋隼飛の水着姿がどう見ても訳アリすぎたのでタギリマシタ。

    夏のおはなし照りつける太陽が、空いっぱいに夏の光を撒き散らしている。雲は遠くにいくつか浮かぶだけで、空はどこまでも青く澄んでいた。
    本日は快晴。絶好の海水浴日和である。


    「また来たぜー‼︎うーみー」
    「今日は遊びに来たんじゃねーだろ」
    「えー。先輩たちが自由時間は好きにしろって言ってたぞ」
    ビーチに到着したのは
    桜遥が級長を務める風鈴高校1年1組の生徒たち。
    桜にとっては今年三度目の海だったが、今回は遊びが目的ではない。
    東風商店街の企画で海の家を出す事になり、梅宮が人手は多い方が良いいだろうと呟いた事から話が広がって少なからずの生徒がボランティアとして集まったのだ。

    杉下はもちろん、ほぼ強制参加を余儀なくされた級長の桜、その副級長たる楡井と蘇枋は大概セットで、暑いだの汗で気持ち悪いだの文句を言いつつ参加する桐生。
    家の事情で欠席となった柘浦を除いて1年1組はいつものメンバーが集まった。

    「おーい、桜。先輩から説明あるから級長は集合だってよ」
    先に到着していたらしい他クラスの級長が桜を見つけて声をかける。
    「おう…。ちょっと行ってくる」
    学友に返事をしてから後ろに控えていた副級長2人に声をかける。
    「はいお願いします」
    「いってらっしゃい」
    元気に返事をする楡井と緊張感のない蘇枋に見送られてその場を離れた。





    「蘇枋、交代なー」
    「ありがとう。もうそんな時間か」
    チラリと時計を見れば昼時は当に過ぎていた。
    ボランティアといっても、海の家の手伝いをする3年や監視とゴミ拾いをしている2年に比べて1年の仕事はビーチバレーやビーチフラッグなどを提供する場の雑用係である。
    楡井は道具の貸し出しチームに配属され、蘇枋は審判とスコアボードを兼任。桜は無茶振りで盛り上げ隊としてメガホンを渡されたが羞恥に勝てずモゴモゴと音を発すだけでやはり役に立たなかったため、人数不足のチームに入りバランサーとして助っ人の任についた。

    初めは利用者が少なく時間を持て余していたが、暇なら遊んでおけ。と先輩からのお達しに最初は遠慮しつつもあっという間に熱を帯び、全力でゲームを楽しむ彼らの雰囲気に釣られて次々に人が集まり盛況となった。

    「あぁ、これ差し入れにもらったから飲めよ。残りはクーラーボックス入れといてくれ」
    「うわぁ、凄い量だね…」
    ずっしりと音がしそうな量の飲み物が入ったビニール袋を受け取ろうとした蘇枋だったが、その手は宙を舞う。
    近づいているのには気づいていたが、蘇枋より早く桜の手が伸びて飲み物を受け取った。
    「お、桜も今からか?」
    「ああ、後頼んだぞ」
    軽々と持ち上げた荷物を肩で担ぎ、その場を後にする。
    「お前らスタートからぶっ通しだったし、持ち場に戻らなくてもいいぞ」
    「じゃあ、甘えようかな?何かあったら声かけて」
    蘇枋は級友に答えてから少し先を行く桜に続いた。
    「ありがと。桜くん」
    「別に…」
    桜に声をかけるといつものように素っ気ない返事が返る。
    「まぁ、昨日は桜君の無茶にいっぱい付き合わされちゃったから当然なんだけどね?」
    「ぐっ‼︎けど、お前だってなぁ」
    慌てて振り返り反論を試みようとしたが、蘇枋の格好を上か下まで視線を滑らせてから言葉を飲み込み背を向けた。

    いつも肌を晒さない蘇枋ではあるが、本日はいつものラッシュガードだけではなく、水着の下にラッシュレギンスを着用してくるぶし近くまで肌を隠すほどの完全防備である。
    そうなった原因の細部を思い出したのか桜の顔は赤面の色を極めた。
    「ふふ…まっかっか」
    深い関係にある2人が同じ部屋で一晩過ごした。
    蘇枋が肌を出せない原因は至ってシンプルなものだけど、同意があっての行為であるから桜だけを責める事は出来ない。

    明日の事があるからと、お互い性的な接触はしないつもりであったので蘇枋は、強制参加に文句を言いながらも、明日の準備に念入りに取り組む桜の背中を、微笑ましげに見つめていた。
    自分より僅かに小柄なはずなのに、その背中は誰よりも大きく、まっすぐだ。
    桜の行動や信念は、そばにいる者の心を高揚させ、惹きつけてやまない。
    今にも弾けて消えてしまいそうな脆さと幼さを抱えながら、それでも前へ進もうとする姿に心を動かされる。
    だからこそ、そのすべてを含めて桜を支え、共に歩むことを、楡井とともに決めたのだ。

    「重い…」
    その背を見つめているのも好きだが、やはり手に届く距離で触れ合えるのは今の蘇枋にだけ許された特権だ。
    桜の体を後ろから抱きしめて、体重を預けると
    苦情を漏らしながらも蘇枋の好きにさせてくれている。
    それが嬉しくて彼に回した腕に力を入れてピタリと密着させた。
    対人関係に過剰な反応を見せる桜だが、触れ合い自体は好きなようで2人きりの時は自然と身を寄せ合ったりしている。
    「同じ…ニオイだね」
    体温の温もりと風呂上がりの桜の匂い。その匂いを自分もまとっているせいでいつもより強く桜の存在を感じられた。
    フワフワとした多幸感に身を任せて眠ってしまいたい。

    だが、桜の温もりを堪能していた蘇枋の時間は、腕を強く掴まれたことによって終わりを迎える。
    体重をかけすぎたかと思い、重心をずらそうと目を開けた時、桜がこちらを見ていた事に初めて気づいた。
    「お前のせいだからな」
    油断した。と、理解すると同時に、強い情欲を滾らせる視線に射抜かれて蘇枋の理性は崩壊する。
    桜の口付けに答えながら跡は残さないでと絞り出すのが精一杯だった。

    結局のところは跡をつけないようにと意識したせいか消化不良を感じて二回戦目に突入。
    そこからタガが外れてお互い乱れてズブズブと三回戦に突入。
    四回戦に突入しそうになった頃には流石の蘇枋も限界を迎え、ギブアップを申し出て離れようとしたが、それが良くなかったのか、逃げようとした蘇枋を押さえつけて強引な体制で繋がったために、蘇枋の体に大きな負荷がかかる事になる。

    そんな目にあっても蘇枋は桜の体に情交の跡を残すことはしなかったが、桜はいつも以上に蘇枋の体に跡を残してしまった。
    太ももの鬱血はなんとか隠せるかもしれないがふくらはぎの歯形はどうにもならなかった。



    「おっ、桜に蘇枋。今からメシか?」
    パラソルに戻ると、先に休憩していた生徒が2人に声をかける。明らかにソワソワしている様子に
    「いいよ。俺が見張り番しておくから行ってきなよ」
    「悪いな」
    蘇枋の提案をありがたく受け、弾むように立ち上がり
    「桜、飯食ったらお前も来いよ。安西達がビーチフラッグリベンジするって言ってたぞ」
    「メシ食ったらな」
    「おう絶対来いよ」

    言い終えるや否や走り去る友人を見送ってから遅めの食事にありついた。
    本来なら、卵焼きに初挑戦しておにぎりと彩の野菜を入れた弁当を作ろうと予定していたが、ギリギリまで睡眠に時間を取ってしまったため、大慌てでおにぎりだけを握った。
    米を強く握り締めてガチガチに丸めた桜のおにぎりとそれなりの俵形にした蘇枋のおにぎりは塩だけの味付けだったが、美味い美味いと頬張る桜を見て蘇枋も満たされる。

    一息ついた桜が蘇枋の用意したお茶で喉を潤す音を聞きながらパラソルの外を伺うと2人の前をカラフルな水着に身を包んだ人々が笑い声と共に通り過ぎていく。波間で遊ぶ人の中には見知った顔もいて、浮き輪の彩りや空へと弾けるビーチボールが賑やかさを表していた。
    海辺に視線を送る2人に気付いた仲間が桜の名前を呼び、こちらへ来いと誘う。
    「今メシ食ったとこだっての」
    まだ立ち上がる気の無い桜が差し入れのペットボトルのキャップを開ける。
    パキッとした明るい音と共に、パラソル前を通りがかったクラスメイトが数人、桜と蘇枋に気づき。
    「おっ、桜。今休憩か?後でフラッグのリベンジやるって安西が言ってたぞ」
    「さっき聞いた。後で行くって」
    「この間、お前と杉下勝負つかなかったからなー次もお前にアイス賭けるから勝てよ‼︎」
    「勝手に人で賭けんな!」
    彼らは言いたいことだ伝えて通り過ぎて行く。

    「やっぱり、みんなで来ると賑やかだね」
    「おちおち休憩もできねぇよ」
    「夜ならもう少し落ち着くかもね。桜君は夜の海に来たことある?」
    「夜はねぇな。夜に来てなにすんだよ」
    「確かに、ビーチフラッグとかは難しいけど、夜は夜で風情があるよ」
    「ふーん」
    「印象が全く変わるからね」
    昼間の喧騒も熱も飲み込んで静寂を引き連れる夜の姿は、安らぎを与える一方で人の不安を煽る。
    波打ち際に立てば、果て無い闇に自分が今どこに立っているのかさえわからなくなり、引く潮に自分が引きづり込まれて闇の中に溺れる恐怖を感じるかもしれない。
    蘇枋にとっては夜の海は心を落ち着かせるものだった。
    生命の源となり、大きな脅威になりうる自然の中では自分がちっぽけな個だと実感できる。
    怒りも悲しみも、人間の感情などこの世界においては小さな事象である。

    「俺は好きだよ…夜の海も」
    「そーかよ」
    そっけなく返す桜はどう感じるだろうか。
    昼と同じくらい夜の海も好きなかってくれたら良い。
    海だけでは無い、
    彼にとって安らげる場所、楽しい思い出を増やしていこうという思いは蘇枋だけではないクラスの総意であり、彼が享受すべき当然の権利だ。
    「じゃあ、今度は夜に来るか?」
    「良いね。流石に参加者は限られるだろうけど皆んな喜ぶよ」
    今までずっと1人でいた桜にとって誰かと時間を共有するという考え自体がなかった。いつも誘われるままだった桜が初めて自主的に募った提案に一も二もなく頷き、頭の中で予定を立てる。

    もし、夜の海が桜にとって負の感情を呼び起こすものであっても、そんな不安に陥るような時間は与えないだろう。昏い夜の静寂さえ彼らなら明るく照らしてくれる。
    桜を担ぐと決めたクラスの結束は固い。
    もちろん、蘇枋もそのうちの1人だという自負はある。
    特に、彼に一番近い場所を譲るつもりはない。

    「お前に言ってんだよ…」
    「ん?うん」
    思いを巡らせていた蘇枋は桜の言わんとする事を理解できず曖昧な返事を返す。
    伝わっていない歯痒さに頭を掻いた桜はバツの悪そうな、拗ねたように唇を尖らせて
    「お前が、夜の海好きっつたんだろーが」
    「あ、…え」
    まさかその対象が自分だけを指していたと思わず完全に不意を突かれた蘇枋は、反射的に返す言葉もなく言い淀むことしか出来ない。
    ただ、体の奥から込み上げて来る熱に驚き、赤く染まりそう顔と熱を誤魔化すために大きく息を吐き出す。

    「もー、本当に君は」
    思ったより大きなため息を吐き出し脱力した蘇枋はビニールシートに頭をつくほどに項垂れた。
    「なんだよ。別に、嫌なら…」
    「嫌なわけないよ。すごく…嬉しい」

    だらしない顔を見せないように気を引き締めたつもりだが、あからさまに真っ赤になって狼狽える桜を見るとどうやら感情の揺らぎが出てしまったようだ。
    「そ、そうか…。なら良いけどよ」

    桜と蘇枋の間に大きな顔をして鎮座した気恥ずかしさが2人の言葉を奪う。
    なんとか自然な流れで話題を変えようかと思案する中

    「おい‼︎桜‼︎」
    「どわぁ‼︎」

    海辺で遊んでいたはずのクラスメイトが海水をまとって近づいていた。
    髪から落ちる温い水滴と共に潮の匂いがパラソル内に濃く香る。
    「ビックリし過ぎだろ。お前いつまで休憩してんだよ。杉下も来たからフラッグやるぞ」

    波間からも桜を呼ぶ声がして視線を向けると、先ほどリベンジに誘ってきたクラスメイトが腕を振り回していた。
    その周りには他の生徒や上級生の姿もあり、各々が遠くから桜を急かしている。

    「もうちょっと休ませろって」
    「そう言わない。主役がいなきゃ始まらないだろ?」
    桜の肩を押す蘇枋の表情はいつもの涼しげな級友そのものだった。

    「蘇枋も賭けるか?」
    「んー。じゃあ、杉下君に1アイスで」
    「オッケー。蘇枋は杉下っと」
    「はぁ?おま、マジかよ!?」
    悪気ない微笑みは桜を揶揄っているのか、彼なりの激励なのか、蘇枋がこの状況を楽しんでいるのは良いことだが、桜としはいつまでも蘇枋の手の平にいるようで癪に触る。

    「お前の負けで回収したアイス、そのまま口に突っ込んでやるからな‼︎」
    「桜君こわぁーい。杉下君頑張ってー」
    わざと高い声を上げて遠くにいる杉下にエールを送る。
    桜に対して特別対抗心を燃やす彼も負ける気はないのだろう。蘇枋に応えてかこくりと頷いた。
    「あぁ!?くっそ、絶対勝つ‼︎」
    俄然やる気モードに入った桜は勢いよく立ち上がり、太陽の熱を吸って焼けた砂浜にビーチサンダルで足跡をつけていく。後を続くクラスメイトを見送って蘇枋はようやく一息つけた。

    本当に最近の桜は油断ならない。
    体術だけではなく、メンタルも師の元で鍛えたはずだったが、まだまだ足りぬと自省する。
    だが、蘇枋にとっても初めての感情に振り回されるのは恐ろしくもあり楽しくもあった。

    「見とけよ‼︎」
    わざわざ振り返り、念押しする姿は子供のようで、やはり桜にはまだまだ可愛らしいままであって欲しいと笑う。
    「期待してるねー」
    手を振れば一応納得したらしい桜は蘇枋に背を向けて友人の輪の中へ入っていった。

    「うん、見てるよ…」
    眩しいものに目を細めて紡いだ囁きは、夏の喧騒の中、静かに溶けた。
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