記憶の欠片 花が咲きほこる草原に落ちているのは、一枚の羽根。雪のように白い羽根は、手に取るとふわふわとした感触がした。
視線を遠くに向けると、大きな羽根を広げた男が立っている。その羽根は今拾った羽根と同じ色をしている。バサッ、という音を鳴らすと同時に羽根が舞った。
「オーフェル」
名を呼べば、銀髪の天使――オーフェルは振り向いた。
「よう……って、おまえまた羽根拾ってきたのかよ」
「ここに来る途中で拾った」
「おまえも変わってるよな。そんなに集めてどうするんだよ」
「……お前の羽根は綺麗だ」
そう言って羽根を雲一つない青空に透かしてみれば、太陽の光で輝き、やがて風に乗せて飛んでいった。
金髪の青年――カミュはその光景をじっと見つめていた。
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