綺麗な薔薇には棘がある少女は戦慄していた。
見てしまったのである。意中の人物があの忌々しい根倉アホ毛と親しげに校舎裏へ向かう様子を。
青天の霹靂のような衝撃にやられ、全く働くことをしなくなった頭とは裏腹に、その足は早々と彼らを追っていく。
先ほどまで整えていた制服の裾やタイツの癖などは今では気にも留めず、ただただ目の前の影を追いかけることに必死になっていた。
嘘だよね?
想定し得る最悪の状況を思料しつつも、聞こえてきた会話は彼女の思考の斜め上をいくような内容であった。
「君は超能力というものを信じている?」
根暗アホ毛の方が突拍子もないことを言い出した。斜め上どころか頭がおかしい奴の発言ではないかと思ったが,,,。
「僕はね,未来が見えるんだ。君に危機が迫っている。」
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