暑い。ジリジリと照りつける殺人的な日差しが、レイの脳天に直撃する。現在の外気温は三十六度、体感温度は四十二度だという。馬鹿か? ふざけるなと言いたい。
ハックモンとのサーフェスウェブでの探索を切り上げて、久しぶりに現実世界の外に出たらこれだ。自分の知らぬ間に、世の中はいつのまにか夏真っ盛りになっていたらしい。
外出しようと扉を開けた瞬間、吹きつけてきた熱風に流石に身の危険を覚えた。いつも着ているパーカーを脱ぎ捨ててはきたものの、シャツ一枚になった所で、暑いものは暑い。
頭の中にまで響くような蝉の大合唱の中、小さな日陰という日陰をつたい歩いて行く。ここは砂漠か何かか。ゆらゆら揺れる蜃気楼が、徒歩数分を果てしない道のりに変えていた。
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