あっち側の話 ボンッ
と懐かしい音がした。数年前に一度聞いたことがある。反射的に閉じてしまった目を開けば、案の定ジャンはいなくなっていて、代わりに髪の短いジャンがいた。
「は? なんだここ」
「簡単に言うと四年後の世界だ」
「は? え、ライナー?」
流石のジャンも状況を読み込むのに時間がかかるのか目を見開いたまま微動打にしない。しばらく様子を見ていたら、両頬をペタペタと触られた。
「四年後、ねぇ。髭なんか生やすようになんのか、お前は」
「……羨ましいか?」
ジャンが面白くなさそうに唇を曲げた。どうやら図星だったようだ。分かりやすく拗ねる様が可愛くてつい腰に手を回して引き寄せてしまった。ジャンはバランスを崩し、すがるように俺の首に手を回す。勢い余って唇と唇が触れた。きっかけにするには十分すぎた。ジャンの頭を後ろから押さえ、何度も角度を変えてキスをする。ジャンが苦しそうに口を開けた機会を逃さず舌を差し込むと、遠慮がちに反応が返ってきた。
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