あっち側の話 ボンッ
と懐かしい音がした。数年前に一度聞いたことがある。反射的に閉じてしまった目を開けば、案の定ジャンはいなくなっていて、代わりに髪の短いジャンがいた。
「は? なんだここ」
「簡単に言うと四年後の世界だ」
「は? え、ライナー?」
流石のジャンも状況を読み込むのに時間がかかるのか目を見開いたまま微動打にしない。しばらく様子を見ていたら、両頬をペタペタと触られた。
「四年後、ねぇ。髭なんか生やすようになんのか、お前は」
「……羨ましいか?」
ジャンが面白くなさそうに唇を曲げた。どうやら図星だったようだ。分かりやすく拗ねる様が可愛くてつい腰に手を回して引き寄せてしまった。ジャンはバランスを崩し、すがるように俺の首に手を回す。勢い余って唇と唇が触れた。きっかけにするには十分すぎた。ジャンの頭を後ろから押さえ、何度も角度を変えてキスをする。ジャンが苦しそうに口を開けた機会を逃さず舌を差し込むと、遠慮がちに反応が返ってきた。
「んんッ」
垂れた唾液が顎を伝うのが気になるのか、ジャンが俺の体を押し退けようとする。昔ほど身体を作っているわけじゃないが、十五のジャンに負けるほどヤワでもない。一層強く抱き締めると、ジャンの股間の膨らみが俺のものと擦れあった。
「ちゃんと勃ってんじゃねぇか。いい子だな」
「ちょ、これ以上はマズイって」
「大丈夫だ。お前は俺に襲われたってことにしとけばいい」
「しとけばいい、つーか事実じゃねぇか。マジでヤんのかよ」
文句は言いつつも拒否の言葉は出てこない。尻を撫でると物欲しそうな瞳で見下ろしてくるんだから、これはもう同意だろ。
シャツの裾から手をしのばせ、じっくりと熱を移すように撫で上げる。胸まで辿り着くと柔らかく摘んで刺激を与えた。ジャンの体がビクと震える。
「自分で持ってろ」
シャツを押し上げるとジャンは小さく頷き素直に裾をたくしあげた。淡いピンク色の尖りに舌を這わせ吸い付く。ジャンがくすぐったそうに身をよじった。
「動くな」
「無茶言うなよ。すげぇぞわぞわすんだぜ、それ」
「そういやお前が胸を触られたがるのはこれ以降だったな」
「あ?」
「いや、なんでもねぇ。こっちの話だ」
しつこく触っていれば、ジャンの口から甘い息が漏れだした。もうそろそろいいだろう。ズボンと下着をまとめて下げてやり、屹立したペニスと双丘の間に手を伸ばす。後孔はすんなりと俺の指を飲み込んだ。あの時の俺らもヤろうとしていたから準備が出来てることを覚えていてよかった。慣らすのにそう時間をかけずに済む。
「そんな擦ったらイく……」
「一回出した方が楽じゃねぇか?」
ジャンが頼りなげな声を出しながら身を引こうとする。後ろの指が余計に奥へ入ることには頭が回らなかったらしい。ジャンが息を詰めるのも構わずペニスを扱き続ければすぐに限界がきたようだ。白濁した液体が勢いよく俺にかかった。
「あ、ヤベ、服……」
「大丈夫だ。後で洗う」
焦るジャンのケツから指を引き抜き、ベッドに押し倒す。汚れたシャツを脱ぎ、ついでにズボンと下着も脱いだ。
「後ろからがいいのか?」
シーツを掻き集めるように丸まったジャンの尻を両手で掴み、あらわになった穴へ先端をあてがった。ゆっくりと沈めると、ジャンの背が弓形に反る。
「くるし、」
「サイズは変わってねぇハズだが」
そのまま奥へ打ち付ければジャンは荒い息を吐く。
「まだ苦しいか?」
「……い…………きもちぃ」
「そうか。よかった」
奥を乱暴に突かれるのが好きなのは今も十五のジャンも変わらない。よっぽど気持ち良かったのか、ジャンはまた精液を吐き出し、後孔がきゅうと締まる。
「シーツも洗わねぇとな」
「ごめ、なさ……あッ、ちょ、と待って。まだ動かな、で」
そう言いながらもジャンの腰は揺れている。ねだり方はこの頃から変わってねぇ。結局俺が一回イく間にジャンは三回目の吐精をした。若さが羨ましいな。
ぐったりと力尽きたジャンに服を着せてやり、横になって抱き締める。うつらうつらとしていたら、ボンッと大きな音が鳴った。次の瞬間には、俺の腕の中に収まっているのは十九歳のジャンだ。不満げに唇を曲げ、
「俺イッてねぇんだけど」
と文句を垂れる。仕方ねぇ、十七の俺の尻拭いをしてやるか。