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    saksak1100

    @saksak1100 Fate クーフーリン エミヤ 切嗣、 鬼滅 ❄🔥 右🔥、 呪術、恵君が好きです

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    saksak1100

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    前に描きたいとこだけ描いたコレ
    https://twitter.com/saksak1100/status/1646444002517086208
    のお話の最初、鬼寿郎と❄柱の出会いの部分。
    ※注意※
    反転世界です
    超自由設定
    杏寿郎のIQが2

    文章書くの苦手です。日本語が不自由!
    漫画にする事を前提に書いているので色々雑ですが、それでもよいという方はどうぞ

    #猗窩煉

    反転世界 👹寿郎と❄柱のお話 出会い❄柱と鬼 のお話 出会い


     霧雨が煙る中、猗窩座は紫黒に染まる叢林の中を足早に歩いていた。
     普段なら半刻もかからずたどり着ける場所に藤の家があるとなれば走って行くところだが、どうにも今日は足が重い。

     雨でただでさえ足場の悪い山道がぬかるんでいる事だけが原因ではない。
     今回の任務で倒した鬼はさして強いものではなかったが、たくみに姿を隠して随分と山の奥深くまで逃げ回られ、かれこれ三日はまともに睡眠と食事をとっていない。

     夜明けまではまだ随分と時間がある。雨宿りをして小休止をするべきか、全力疾走して一刻も早く藤の家で湯に浸かるかと迷う猗窩座の目の前に寂れた社が現れた。
     人の足が遠のいて幾年たったのか、苔むした柱と穴だらけで半壊した屋根、こういう場所には悪い気が凝っているものだ、早々に通り過ぎた方が良い、そう思う心と、腰を下ろして一息つきたいという気持ちを量りにかけて、猗窩座は後者を選んだ。 
     四半刻でも休めば、走る気力が沸いてくるかもしれない。
     雨に体力を奪われないようにと、今にも腐り落ちてしまいそうな扉を慎重に開けて中に入る。
     夜の闇の中一層濃く、墨を垂らしたような黴臭い社の奥、ぼうと白いものが浮かび上がった。


     今はこんなもの見つけたくなかった、と猗窩座は頭を抱えた。

     人間ではない何かがそこに横たわっている。よく知る存在、今晩も追いつめて狩ってきた「鬼」の気配だ。
     だが猗窩座は違和感に方眉を跳ね上げる。 
     鬼特有の腐った血肉の臭いがしない、そして横たわった鬼はまるで眠っているようだ。

     猗窩座が知る限り、鬼というものは眠らない。

     妙な血気術を使うたぐいの鬼だろうか?

     足音を忍ばせて猗窩座は横たわる鬼に歩みよった。
     そして鬼の顔貌がはっきりと視界に入る程に近づくと息をのんだ。
     静脈が透けて見える青白い肌に白金の髪の毛、その毛先は朱に染まっている。綺麗な曲線を描く額、そこからつながるツンとした鼻梁、閉じられた瞳を縁取るまつ毛は長く、まるで人形の様だ。
     白地に髪の毛と似た金と朱の炎を模した模様が描かれた着物を纏い、胸の前で組まれた手には刀を抱いている。

     鬼の容姿の美しさにも驚いたが、鬼がしっかりと抱いている刀、これは日輪刀ではないか。
     普通の刀と日輪刀の違いは一般人が見てわかるものではないが、鬼殺隊士である猗窩座は日輪刀が帯びる太陽の波動を強く感じ取る事ができる。

     何故鬼が、日輪刀を?いやそもそもこいつは鬼なのだろうか。
     そっと腕を伸ばし、刀に手をかけようとした瞬間、眠っているかに見えた鬼がカッと目を見開いた。
     焔色の瞳と縦長の瞳孔、やはり鬼かと、猗窩座は腰にしまっていた手甲と腿に刺していた短刀を構えて臨戦態勢をとった。
     ところが、鬼は刀をしっかりと抱いたまま、猗窩座から逃げるように距離をとった後動きを止めた。

     やはり妙な血気術を使うたぐいの鬼だろうか。
     慎重になるべきだと思う一方、体力、精神力共に消耗した今、膠着状態は好ましくないと猗窩座は素早く鬼に斬りかかった。
     技や血気術の類を気にしながら仕掛けたものの、鬼は簡単に倒れ、馬乗りになった猗窩座から顔をそらして、ただ固く目を閉じている。

     右手に持った短刀で鬼の首筋に刃を振り下ろそうとしたが、刃がその皮膚を切り裂く直前に猗窩座は手を止めた。
     美しい容姿で人心を惑わす鬼を見てきた、か弱いふりをして善意の人を食らう鬼をみてきた、そんなものに惑わされる程己はもう初心ではない。
     だがしかし、どうしても猗窩座は他の鬼と違うこの鬼の気配が気になった

    「お前、人を喰った事はあるか」

     鬼は固く目を閉じたままゆるゆると首を横に振った。

    「…とは……るもの」

     組み敷いた鬼は必死に何事かを繰り返しつぶやいている。猗窩座は耳を寄せて鬼の言葉を聞いた

    「ひとはまもるもの、ひとはまもるもの」

     自らに言い聞かせるように何度も同じ事をつぶやく鬼。
     短刀は構えたままゆっくりと鬼の上から退いた猗窩座は鬼の様子を伺った。攻撃を仕掛けられない事を覚ってか、鬼は身を起こした。

    「お前名前は?」

     相変わらず刀を抱きしめた鬼は伏せていた瞼をゆっくりとあげ猗窩座を見つめ、しばらく後に

    「れんごく、きょうじゅろう」

    と一字、一字を思いだすようにゆっくりと名乗った

    「きょうじゅろう、お前は人を喰わないのか?」

    「ひとはまもるもの」

     同じ言葉を繰り返す鬼に、猗窩座は今度は見せつけるようにゆっくりと短刀を己の腕に滑らせて血を滴らせた。きょうじゅろうの瞳孔が大きく開いた。
     どうする?じっと様子をうかがう猗窩座の前から尻で床を擦って追い詰められたように後ずさったきょうじゅろうは抱いた刀にすがるようにして、きつく目を閉じ、涎をたらしながら震えている。

     その間もずっと、ひとはまもるものと必死に自分に言い聞かせているようだった。 猗窩座は切った己の腕に手拭いを巻き付けるときょうじゅろうのそばによって膝をついた

    「驚いた……、お前は本当に人を喰わないのか……」

    さて、どうしたものかそう思った時、けたたましく猗窩座の鎹鴉、皓の呼び声が響いた

    『北北東、市街地近ク二鬼出没、鬼出没、直チニ向カエ』

     本来ならば、きょうじゅろうを始末してから次の現場に向かうべきだ。
     人を喰った匂いがしない?昨日、今日鬼になって、これから食う可能性があるではないか。
     泣いて命乞いをした鬼を哀れに思って躊躇した瞬間に仲間が殺された事だってあった。
     柱失格だろうか、そう思いながらもどうしてもきょうじゅろうを斬る事ができず、猗窩座はこんな言葉に意味があるのだろうかと疑問を感じながらも、またここに戻ってくるからどこにも行くな、人を喰うなと言い聞かせ社を後にした。



     皓の報告によって滅した鬼は血気術を使うでもなく、他と比べ秀でた身体能力があるでもなく、あっという間に首を落とされ塵になって消えた。
     だが、もともと限界に近づいていた体力をそこで使いはたした猗窩座は、這うようにして藤の家までたどりつくと、食事も、風呂もとらずそのまま泥のように眠った。

     社に放置してきた鬼の事が脳裏をかすめたが今はただ眠りたかった。

     二刻も眠り目を覚ますと日は登り、あたりは清澄な朝の空気に包まれていた。
     睡眠をとることで頭がすっきりすると、己がとんでもない事をしでかしたのではと昨夜の事を思いおこした。
     何故鬼を斬らずに戻ってきた。
     あの時、自分はとても疲れていた、だが鬼に対しての正常な判断ができないほどだったろうか、もしや自分はあの鬼の血気術にかかって斬らぬように操作されていたのではないか。
     ただちにそこに戻って斬るべきだと思うが、もしも血気術にかかっているのだとしたらという迷いに、猗窩座はいけ好かない同僚の顔を思い浮かべながら、念の為調べておくかとため息をついた。




    「やぁやぁ猗窩座殿おはよう!嬉しいよ俺を頼ってくれるなんて」

    「うるさい、さっさと調べろ」

     人格的には好きになる事はできない、できることなら関わりたくない、だが医術の腕と鬼の生態、血気術に関する知識だけは悔しいがこいつ以上に頼りになるものはいない、そんな同僚童魔の元に猗窩座はやってきた。

    「頼み事があるっていうからわざわざ猗窩座殿の為に時間を作ったっていうのに、随分つれない言い方だね」

     童魔は猗窩座の上下瞼を開いて瞳孔を確認したり、血液や唾液の採取をして猗窩座の身体を一通り診た後にニコリとして言った

    「術にかかっているような兆候は見られないし、万が一影響があったとしても、感知できるほどでもないから、今から日光浴でも楽しめば、さっぱり綺麗な状態になると思うよ」

    「そうか」

    猗窩座は脱いでいた上着を肩にかけ、用さえ済めば一刻も早く離れたいと言わんばかりに足早に診療室から出た。

    「まったく、礼のひとつぐらい言ってくれても罰は当たらないと思うけどなあ」

     童磨はさして不満もなさげにそう呟くとひらひらと手を振った。

     


     昨晩とは打って変って晴れた空の下、猗窩座はあの古びた社へと向かった。
     雨があがり木漏れ日が刺す森の中はまるで印象が違うが、目的の場所へとたどりつくことができた。
     昨晩と同じように慎重に社の木戸をあけると、その奥には昨日とは違って座った姿勢で相変わらず刀を抱いて眠っているきょうじゅろうの姿があった。

    やはりこいつは眠るのか

    「きょうじゅろう」

     無意識に猗窩座の口から昨日聞いた鬼の名前がこぼれた。
     鬼は薄っすらと目をあけると顔をあげて猗窩座を見た。無言のひと時が流れた後、猗窩座は手を差し出した。

    「その刀を見せてくれないか」

     ためらう仕草をするきょうじゅろうに猗窩座は相好を崩して、ちゃんと返すからと言った。
     抱いていた刀をきょうじゅろうはおずおずと差し出した。
     鞘から刀身を抜くと、焔色の刃に猗窩座の手甲や短刀と同じ「悪鬼滅殺」の文字が刻まれていた。
     柱を殺して奪ったのか、いや、それはきっとあり得ない、普通鬼は日輪刀の気配すらも厭う、このように大事に胸に抱えたりはしない。
     この鬼元は鬼殺隊の剣士、しかも柱だ、鬼に堕とされたが、強靭な精神力で人を食らう事を拒絶してきたのだろう。
     

     双子の兄、狛治と違って自分は鬼殺隊の歴史や道程に興味をもたなかった、大事なのはいかに自分が強くなり、多くの鬼を滅するかそれだけ。いつの時代にどんな柱がいてどんな呼吸がうまれたか、知らない。

    「きょうじゅろう、お前は自分が誰なのか、何故ここにいるのかわかるか」

     きょうじゅろうはしばらく考えるような仕草をした後首を横に振った。
     本部に戻って資料を見れば、柱ならば名が残っているかもしれない、調べてみよう、始末をつけるのはそのあとでも良い。
     それに、本当に今まで一度もきょうじゅろうが人を喰っていないというのなら、これは鬼殺隊にとっても有益な被検体になるかもしれない。
     ここへはきょうじゅろうを殺すために戻って来たというのに、殺さない理由を探す自分に猗窩座は倦んだ。
     
     俺は何をしようとしている――。

     これ以上踏み込んでどうするつもりなのだという気持ちとは裏腹に猗窩座はきょうじゅろうへ語りかける事を止められなかった。

    「俺は猗窩座」

    「あ、かざ……」

    「そうだ猗窩座だ、鬼を狩っている」

     その言葉に反応して、きょうじゅろうは猗窩座が持っている己の刀に手を伸ばした。
     猗窩座が刀を返すときょうじゅろうは先程猗窩座がやったようにすっと刀身を抜いた。
     今まで幼子のように振る舞っていたきょうじゅろうの表情が一変した

     「だれも、しなせない」

     真剣な眼差し、その全身から炎の様な闘気が舞い上がる、猗窩座は全身の毛が逆立つのを感じた。
     なんという気迫だろう、 自分が何者であるかも覚えていないのに、鬼から人を護るという一念だけは失わずにいる男を猗窩座は、今度は明確に「殺したくない」と思った。
     



    「ドウスルツモリダ?」

     新たな任務地に向かう途中、鴉の皓は猗窩座に問いかけてきた。

    「わからない……。皓、きょうじゅろうの事を他の隊士に知らせるのは少し待ってほしい」

    「私ハ猗窩座ノ鴉、オ前二従ウ」

    「助かる」


     
     それから数日また任務で駆け回った後、鬼殺隊本部に戻った猗窩座は資料室のある地下にこもっていた。
     オイルランプを灯し、歴代の柱に関する記録を一つ一つ遡っていく。
     予想以上にあっけなく猗窩座は件の名を発見した。

     煉獄家三十五代目当主 煉獄杏寿郎 炎柱就任。

     十九の歳に柱に就任した煉獄杏寿郎の記録は二十歳で鬼と交戦中に姿を消し、遺体が発見されることなく一月後に葬儀が執り行われた旨が記されていた。
     彼を最後に鬼狩りを代々続けていた煉獄家の記述は消えた。
     かれこれ百五十年も前の記録だ。

     随分と長く、鬼の本能と闘いながら孤独な時間を過ごしたのだなと猗窩座は瞼の裏に刀を握りしめて眠る鬼の姿を思い浮かべた。

    「珍しいな、お前がお勉強なんて」

     深く物思いに耽っていたせいか全く人の気配に気づかなかった猗窩座は飛び上がりそうになりながら声の方に視線をやった。
     地上からの明かりが薄ぼんやりと届く階段に双子の片割れの姿がある。

    「狛治…」

    「調べものか」

     猗窩座は頷いて、迷った後に口を開いた。

    「もしも、人を喰わない鬼がいたとして…、それは滅するべきものだろうか」

     猗窩座の言葉に狛治は乾いた笑いをこぼした後、眉間に深く皺を寄せて厳しい声で言った

    「そんな事は考えるだけ無益だ、人を喰わない鬼など存在しない」

     猗窩座は癒えない傷から今も血を流し続ける兄の心を思って俯いた。

    「お前もそれは嫌という程わかっているだろう」

     そうだなと頷くと、猗窩座は手にしていた書を後ろめたい気持ちになりながらそっと棚に戻した。





    続く



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