👹寿郎と❄柱のお話 その2「杏寿郎、これは何かわかるか?」
懐から壊れないように布に巻いてもってきた風鈴を取り出して、猗窩座は杏寿郎の前に差し出した。
首を傾げた後、吊り下げられて揺れる風鈴を杏寿郎は指先で突っついた。
チリンと透明な音が鳴る。
杏寿郎は面白そうに何度も風鈴をつついて子どものように笑った
「綺麗だろう。お前にやる」
手渡された風鈴を目の前に掲げて杏寿郎は飽きる事なくそれを眺めては突いてを繰り返している。
数日前に調査に出かけた街で開催された縁日を歩いていると、綺麗な桔梗の文様が描かれた風鈴を見かけた。夏の暑さに清涼感を運んでくるその音色を聞いた時、何故か猗窩座は杏寿郎の顔を思い出して、気が付けば風鈴を買い求めていた。
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