旅の伴黒い驢馬が歩いている。
黒い男を背に乗せて
白い男を伴って
大きな荷物も見当たらず
楽し気に笑いあう二人を連れて
黒い驢馬はゆったりと道を歩いていた。
背に乗る男は魏嬰と言い
歩く男は藍湛といった。
背に乗る男が話を振り、
歩く男がそれに答えた。
驢馬はそれをまたかと感じながら
自分の背の上で前に後ろに勝手に動く男を振り落とさない様に
ゆっくりと道を歩いて行った。
「お、藍湛!もうすぐ街だ!飯にしような!」
「うん。」
「うまい飯屋があると良いな!」
「あと酒も。」
「さっすが藍湛!よく分かってるな!酒も絶対だ!」
驢馬は上に乗る男が左右に体をゆすりながら轍で腹を叩くのがすごく不満だった。
走れと合図を送るくせに、いざ走ると叫びだすからだ。
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