やり返されるやつ「……ん、?」
「…!目が覚めたかい」
少女が目を覚まして最初に目にしたのは、見知らぬ天井だった。そして傍らに佇む女──褪めるような銀髪を長く伸ばした、異様な雰囲気を纏う彼女。その瞳は全てを見透かすようで、見られている側からすると正直言って居心地が悪い。しかしその瞳の特徴には覚えがあったし、背格好にもよく見知った幼子の面影がしっかりとあった。
「あなた、エル、なの……?」
「ああそうさ、そうだとも……良かった、記憶もちゃんと戻っているみたいで安心したよ。ネール…キミにまた会えるなんて、思いもしなかった」
彼女はそう言ってネールの寝かされているベッドに腰掛ける。そのまま手を伸ばしてネールの頬に触れ、そこにかかっていた髪を払う。壊れ物を扱うような手つきで優しく触れられ困惑していると、今しがた指先が触れていた場所にまた別の柔らかな感触があった。
「エル…、んんっ、、」
それが彼女の唇であると気づいた時には、既にネール自身の唇が塞がれていた。
「っ……!」
さらに服の上から胸に手が添えられる。軽く胸を揉みしだきつつ、手は腰へと滑っていく。括れたラインを確かめるように撫で回され、太腿を愛撫され、脹脛、足の指先まで隈なく彼女の艶やかな手つきを刻みつけられる。
「ネール、覚えているかい」
「……?あ、ぅ……なに、を?」
「キミがした事だよ」
「私が……?」
「あの日。ワタシの寝ているベッドに腰掛けたかと思ったら頬にかかった髪をゆっくりと払って、キミは突然口付けてきたんだ。流石のワタシも驚いたよね……だってまだ11歳だったんだよ?知識なんてろくに無かったんだから、ひたすら訳が分からなかったさ」
確かにネールは、幼いエルを抱いてしまったことがある。否、したことがあるどころの話ではなく、何度も何度も彼女を求めた。愛しくてたまらなかったのだ。エルがネールの手で乱れる様子を見ることは他の何よりもネールの心を満たしてくれたし、何も知らない少女に自分という快楽を覚え込ませるというのはあまりにも歯止めが効かなくなる状況でしかなかった。
「こうして全身を撫で回して、乳房を揉んで……まァあの頃のワタシにはほとんどなかったけれど」
「ん……っ、あ、」
「キスをして、舌で……ん、」
舌で咥内を蹂躙される。
歯列をなぞられ、上顎をぐりぐりと押し込まれ、思わずくぐもった甘い声が漏れる。
「思い出してくれたかな?」
にこりと作ったような笑いを浮かべる彼女に、ネールはどうしようもない怖気を覚えた。
忘れるわけがない、あの幸せな日々を。
同時に自分がしていたことも、忘れたことは無い。
つまり、自ずと分かってしまう──これから自分がされることも。
「……は、い…」
ネールに出来ることは、ただ快楽を受け入れ赦しを乞い願うことだけだった。