「アスラン、土曜日午後からお買い物に行きましょう」
レノアがそんなことを言い出したのは十月も終わりのことだった。
土曜日はアスランの誕生日で、夕食は両親と外食することになっている。
高校から付き合っている彼女のいる男子大学生としては、誕生日当日を恋人と過ごしたい気持ちがない訳ではない。
ただ日頃忙しくしている両親がわざわざ調整してくれただろう機会を無碍にできる性質ではないし何より、当の恋人であるカガリが『こういうときは両親を優先するものだ』という思考の持ち主――カガリも忙しい父を持つので優先すると宣告されている――なのでその日は一日空いていた。
午前中から夕方にかけてカガリと会うこともできたのだけれど『食事の前に買い物とか行くかもしれないだろ。日曜日に遊びに行こう』と断られている。
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