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    ラバン@d垢

    @raban_dsub

    落書き置き場

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    ラバン@d垢

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    フェスミスの(捏造設定の)真王様とスプミキがお話しする話
    ミッキーは導きの願い星なのかもなぁというのと、その星が真王復活には必要だったのかもという解釈から書いてみました。

    水底に届かなかった星暗い海の底、ハロウィーンの祝祭の音が水面を伝って響き渡っていた。
     パラダイスの都の楽し気な声に耳を傾けるかつての王は、その音に聞き入ると同時に、さらに遠くの場所から死を放つ異界の気配を感じ取っていた。
    「あのお人好しめ…」
    「誰の事?」
     と独り言に返事をされ、首を持ち上げると、封印の檻の向こうに見知った顔がそこにはあった。
     少し驚いた真王はまじまじと声の主を見つめた後、落胆の深いため息をついた。
    「久しいな、ミッキー・マウス。随分雰囲気が変わったではないか。」
    「そうかな? でも、以前より気分が良いんだ。なんだか解放されたみたいで。」
     白と黒、あるいは紺色の混ざった、暗闇に漂うかすみのような衣装をまとったミッキーは嬉しそうに笑う。
    「だが以前のお前は仮面を張り付けたような笑みを見せるような男ではなかったがな…
     して、何故此処なにゆえここにきた。正直今のお前に用は無い。」
    「そんな事言わないでよ、せっかく君を招待しに来たんだから!」
     笑顔で手を差し伸べる
    「一緒にスプーキーランドに行こうよ! 彼なら君をここから解放できるんだ!
     だってこんな暗くて狭い檻、君には似合わないし、それに、ひとりぼっちは寂しいでしょ?」
     その言葉に怒り、檻に体当たりをする。虚しくもがしゃん! と大きな音を立てるだけでびくともしなかった。
    「我はこの港の王であり海の王だ!
     王は孤高だ、故に一人が寂しいとは思わぬ!
     何より、そのスプーキーランドという場所が気に食わぬ…お人好しめ、騙されおって!」
     檻の向こうに佇むミッキーを睨みつけ怒号を浴びせる。
     ミッキーはそっか…と寂しそうにうつむく。
    「せっかく君を解放してトモダチになれると思ったのな…」
     真王はフンと鼻を鳴らし、大きな尾で檻を叩き怒りをぶつける。
    「我はお前を復活のための器としか見ておらぬ。しかし、今のお前は器にもならぬ。
     去れ。もうお前に興味は無い。」
    「わかった…本当に残念だよ…
     ねぇ、せっかくだから君はどうして僕を器にしようとしたのか、最後に聞かせてよ」
     真王は考えた。答える義理は無かったが、器として知る権利はあるだろうと。
     そして或いは…
    「冥土の土産に教えてやろう。
     お前は王の星の才があった。導きの星だ。
     その才は王に返り咲くには必要だった。民を導く、星になるためにな。」
    「君って国民思いだったんだね、知らなかったよ。
     でも、なんで人を操ってでも復活しようとしたの? それじゃ国民から信頼されないんじゃない?」
    「我はまず復讐せねばならなかった。我を封印せしダニエラに。」
     ミッキーは腑に落ちないという顔をした。
    「ダニエラ姫はもういないのに?」
    「いや、いた。ダニエラの生き写しが。あれは間違いなくダニエラだった。忌々しい…」
    「もしかしてミニーのこと?」
    「そのような名前だったかは知らぬ。」
    「ふーん…
     ねぇ、ところで君から見ると僕は『星』に見えてたんだよね。
     今は違うの?」
    「今のお前は……死した黒い星だ
     そのような星は王にはなれぬ」
     ふぅ、とため息をつく
    「もうお前に話すことはない。去れ、我の前に姿を現すな。」
     ミッキーは黙って、憐れむように真王を一瞥すると、向きを変え汽車の音のする闇へと消えて行った。
      
      
     ―あれはもう戻って来ないやも知れぬ…惜しい事をした
     だが今のあれは我の求めた星ではない
     闇をも照らす導きの星
     あの星は力を求めるなら誰もが欲っする
     だからこそ別の者に狙われ懐柔され星を奪われたのだろう
     しかしまだ、微かに光はあった
     何か奇跡が起きればあるいは…
     いや、やめよう。次の星が見つかるまで、眠るとしよう
     さらばだ、ミッキー・マウス
     
     そうして真王はゆっくりと目を瞑り、深い眠りに落ちた
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