放課後に君といつもの帰り道、僕と三郎はバイトのシフトもなくて学校に残ってすることもなくいつもの道を歩く。途中で昔からあるコンビニで僕のお気に入りのアイスを買った
ピピコは安くて美味しくて学生の懐にも優しい甘くて、少し苦い不思議な味。それを袋の中に入れてもらって、馴染み深い坂道を上っていく。帰宅路から逸れた場所にあるこの公園。海がみえるお気に入りの場所だ。
夕日に照らされて輝く海が綺麗だ。そんな絶景を隣り合うブランコに座り足で軽く地面を蹴り揺らす
昔は大きく見えたこのブランコも今じゃむしろ小さく見える。ところどころ錆び付いていて年月を感じる。そんな所に来た
「三郎はい、アイスだよ」
「雷蔵!ありがとう」
袋からピピコを取り出し慣れた手つきで2つに割り手渡す。三郎の笑顔が眩しい。
「ふふっ。やっぱりここの綺麗な眺めから食べるピピコは最高だね?」
「そうだな…綺麗な景色に加えて君と一緒だからね。最高だよ!」
「三郎ったら……」
程よく溶けているアイスは舌ざわりが良くてとても美味しい。これくらいの柔らかさが好きだったりもする
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キィキィと音を立ててブランコを揺らす雷蔵は上機嫌にみえて思わず笑みがこぼれてしまう。君といると心が穏やかに感じるんだ。
それにしても本当に夕日が綺麗でずっとふたり、このまま黄昏ていたいなと思った
「あのね、三郎………今まで恥ずかしくて言えなかったんだけどね…」
「なんだい?君が言い淀むなんてよっぽどだぞ?君の感じたこと全部教えてくれないか?」
雷蔵のことは全部知りたい。今どんな感情でどう思ってるのとか。雷蔵は躊躇いながらも深呼吸して
「……夕日を見つめてる三郎がさ?哀愁漂っててね?風景に溶け込んでみえて綺麗?…うーんと、僕はそれを隣でいつもみてるでしょ?あのその、横顔がすごく、なんか表現難しいけど、……かっこいいなぁ〜って思っ…!」
そういってぷいっと顔を逸らした雷蔵がとてもかわいくみえてたまらなくなった。
「成程…雷蔵はそんなこと思ってたんだな?……待ってくれ……時間差で俺の心拍数上がってきたんだが……照れるなこれ…」
投下された爆弾に顔がふにゃふにゃになってしまう。そんなこと言うの悩んでたなんて。
「三郎顔赤いよ…」
「君もね」
雷蔵がちらっとこっちを見てきたが夕日に負けないくらい赤いと思った。だからブランコからシュッと飛び降りて雷蔵に近づいてみた
「三郎な…」
むにゅ
ポトッ。
雷蔵に思わずキスをしてしまった
雷蔵は驚いて空になったピピコの容器を落としたけども。
私の最近思い入れのあるいつの間にか大好きになった場所、大好きな風景にとっても愛らしい雷蔵!一緒に共有して大好きになったピピコのあまくてほんのすこし苦い味。これまた大好きになった夕日がどんどん沈んでいって黄色とオレンジと赤のコントラストが君を照らして綺麗で。この日のことをずっと覚えていようと思ったんだ。
「なあ、雷蔵もう一度……キスしないか?いいよな……?」