ねずみ花火花火の音で消えた言葉は、なんだったのか。
その後のキスは何を意味していたのか。
「え〜!?そんなの、決まってるじゃない!」
シャドウずるーい!と、何故か嫉妬される。
「何がずるいのか説明してくれ…後、声が大きい…。」
「だって!ソニックだよ、ソニック!いくら幼なじみでも、アイドルと一緒にデートなんてずるいじゃない!」
あー!あたしも一緒に行けば良かった!と興奮冷めやらぬ様子で、目の前のピンクのハリネズミは捲し立ててくる。
「それは出来ないだろう、お忍びだったからな。」
そう返すや否やキッとこちらに視線を向ける。…失言だった。
「お忍びなら、なんでシャドウはいいのよ。幼なじみだからって…なんでもオッケーなわけじゃないでしょ。」
どこからか持ち出したピコピコハンマーを振りかぶろうとしていて、早々に謝罪する事を決意する。
「…僕が悪かった。それで、本題に戻りたいんだが。」
「まぁ、いいけど…花火の音で聞こえなかった後のキスの意味でしょ?」
そんなの―
「へぇ、そんなことがあったのね。」
ルージュにも同じ話をするとニヤニヤしながら聞いていた。相談相手を間違えたらしい…。
「ま、堅物のあんたも 青春が送れそうで何よりね。」
「言ってる意味が分からないんだが…。」
「え?あんた、エミーの話聞いてなかったの?」
信じられない、と言った様子で口を手で覆う。
「聞いたから余計に分からなくなった…ただの幼なじみだろう。」
…こりゃ、先は長いわね。とルージュがつぶやく。
結局、その理由を教えてくれることはなかった。
あの花火大会の日、ソニックから誘われなければ、外に出ることもなかっただろう。
僕が人混みを嫌いなことを知ってるはずなのに、「今日だけ許してくれよ。」と急かすように家を出た。
そう言ってひとけの少ない所に来ると、ちょうど花火が空に上がった。
綺麗だなと言っていたから、ああ。とだけ返したと思う。
しばらくは花火を見続けていた。
そろそろクライマックスかと言う時に、ソニックがこちらを向いて口を動かしているのが見えた。
何も聞こえなくて、何を言ったか尋ねると頬をかきながら、照れたように笑っていて。
気付けば、口に柔らかい感触だけが残っていた。
「俺、もう帰らなきゃ。」
そう言い残して去ってしまった。
あの日の記憶を思い出すと頭の中を、ねずみ花火がぐるぐる回る。
火花がパチパチと音を立てて、黒くなっていくのに煙しか残していかない。
そんなの、愛の告白に決まってるでしょ。
エミー・ローズに言われた言葉が宙を舞って、落ち着かない。
僕たちは幼なじみで、男同士で…。仲だって特別いいわけじゃない。どちらかと言えば悪いほうだ。
…考えても何も分からない。
「…君と僕は、何なんだ。」
まだ、ねずみ花火の火は消えない。