春に戯れ眩しくも柔らかい日差しで目が覚める
覚醒しきっていない頭でふと隣に目をやると、すぅすぅと心地よさそうな寝息を立てる整った顔
春眠暁を覚えず。
枕元のスマホに手を伸ばすと、時刻は午前11時を回った頃だった。
「…………寝すぎた」
今日は午前中にセトと花見に行こうと話をしていた。
「おい、セト、起きろ」
体を起こし、隣で眠る恋人の眉間を小突くと、んん、と小さな声を上げたかと思いきや、逞しい腕が俺の腰に回された。
「いや、起きろって」
眠っているとはいえ普段から力仕事をしているこいつとニートの俺じゃ力の差は歴然としている。
どうにもこうにも動けなくなってしまった俺は仕方なくまた寝転んだ
まだ薄ら寒い季節。腰に抱き着かれているせいで俺の体は掛け布団から大きくはみ出している。
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