河マツの始まりかもしれない話 6/7(肺が痛い。息ができない。苦しい。くそっくそ!分かっていたことなのに悔しい…!)
身長が低く、一般入試で入学した山王では俺は歯が立たない。俺よりも上背のある部員たちにボールは運ばれ、ネットの軽い音が体育館に響く。
思わず下を向き荒い呼吸を整えようと、ふーッと大きく吐いた。
「河田!前を向け!」
「……っ!」
「自分が弱気になって、どうすんだよ!」
「っ!!」
「悔しければ、技を盗んで自分の技にしろ!」
「……そんなん、分がってら!!」
「くくっ!その調子だ。俺、お前のプレーいいと思う。器用だし小回りきくしな」
唇の端をニヤリと上げ、言葉が続けられる。肩を叩かれ、幾分か高い位置から、声が降り注いだ。
「俺が点を取るから、ボールを運んでくれよな!」
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