また今年中に会えるかな。冬休みに入り、カーヴェは朝から夕まで塾の冬講習だ。
「世間はクリスマスだなんだと言って騒いでいるがここで気を抜かないのが受験生だぞ!」
「先生が可哀想だから休みにしようよ〜」
「残念ながら先生は皆と過ごすことでくりぼっちを回避しているんですー」
「乙でーすw」
生徒と講師の時事ネタ弄りから始まった冬講習、問題を解き終え、ふと外を見た。
曇天の駅前の大通りには赤と緑のオーナメントが飾られ、路上ライブの音も微かに届く。
浮つく世間から隔絶された灰色の箱で無機質な数字の羅列と格闘する、受験生とはそんなものである。
(アルハイゼンは今日をどう過ごすのだろう)
(あいつのことだから、ストーブの前で冬休み前にごっそりと上限まで借りていった本を読み、お祖母さんお手製のご馳走を食べて、浮かれた街に行くこともなくぬくぬくと過ごすんだろうなぁ。)
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