ロアとリ夫婦の出会い「すみません。もう少しで到着すると思うんですけど」
クガネの黄金通りの小料理屋の一室でミコッテ族の女性が困った顔でヴィエラ族の若い男性と話していた。
「クガネは道が入り組んでますからねぇ〜。迷われるのも無理ないですよ」
「いえいえこちらの不手際で⋯⋯何かあったのかしら」
ミコッテ族の女性が思い悩んでいると、
「大丈夫ですよ。このへんは治安が良いので迷っても聞けば誰かしら教えてくれますし。それにしても、羨ましいなぁ⋯」
「え?」
「いえ、僕独り身なんで。ザフラさんみたいな優しいに奥さんに心配してもらえる旦那さんは幸せものだなぁと思って」
「あらっ⋯うふふ、ロワさんったらお若いのにお上手ね」
ヴィエラ族の男性の名は『ロワ』クガネを拠点とする若き商人である。
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