決戦 夕闇の空気を裂いて、ポップの声が響いた。
「言えよ! オメーがマァムをどう思ってるか、良い加減はっきりしやがれ!」
怒りと悔しさで顔を真っ赤にしたまま、ポップは拳を握りしめて前に進み出る。
「ずっと気に食わねえんだよ、お前のその澄ましたツラが!
幸福にできねえとか、不幸にしかしねえとか……そんな言い訳で逃げんな! はっきり聞かせやがれ!」
その言葉は、ヒュンケルの胸を深く突き刺した。
逃げられない――誤魔化せない――。
ここで沈黙することは、仲間としても男としても許されない。
長い間封じ込めてきた心の奥底を、いまさら曝け出すことに逡巡しながらも、もはや背を向けることはできなかった。
短い沈黙のあと、ヒュンケルは静かに目を伏せ、そして真っすぐポップを見据えた。
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