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    otticoffeejelly

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    otticoffeejelly

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    〇〇●●〇●〇●●・〇は一人称、●●・〇〇は名前と認識してお読みください

    ●と〇〇は双子のきょうだいだ。生まれた数日後にこの神聖アルヴィス帝国立教会へ預けられたから、どちらが上かは分からない。
    ●と〇〇は顔こそ非常に良く似た双子であったが、髪と瞳の色だけは似ても似つかなかった。
    〇〇は白に近い銀の瞳に『純白のあの御方』と全く同じ『純白』の『美しい』髪色をした、『祝福された子』であった。一方それに対して片割れの●は……
    「○○はあの御方と同じ美しい純白なのに……」
    「せめて純白でなくともそれに近しい薄い色素であれば……」
    「優秀なのは●●の方だがあの髪と目の色では……」
    「『運命の日』に救済されることは無いだろう」
    「「「「可哀想に」」」」
    ●を見た者は皆口を揃えてそう言うのだ。
    ●は〇〇より運動も勉強も魔法も社交性も優れている。しかし●は〇〇と違って『純白』ではない。
    だから●は『美しく』ないのだ。
    だから●は〇〇より『生き物』として劣っているのだ。
    ●は可哀想なのだ。
    〇〇はなんの努力もしていないのに、●の方が能力は優れているのに、
    『純白』で『美しい』から『生き物』として優れているのだ。
    ●が『純白』であれば、能力の優れた●が生き物としても優れていれば……もしくは生き物として優れている〇〇が●のように能力も優れていれば皆幸せなのに。
    きっと教会の皆も村の皆も喜ぶだろうに。
    そうはならなかった。
    ●は可哀想なのだ。
    ●は可哀想なのだ。
    ●は可哀想なのだ。

    可哀想だけれど、可哀想なだけで終わりたくはなかった。

    ●の能力が優れているのは確かなのだ。この優れた能力を磨けば、●はあの御方とこの国と教会に貢献する事ができる。
    例え全てを『純白』にするための『運命の日』に救われる存在でなくとも、その日まで役に立ち続け使い捨てられる存在であっても、
    ●は神聖アルヴィス帝国の為に生きられればそれで幸せなのだ。
    ●はその日まで精進し続けるのだ。

    ●は勉強で1位を取り続けた。〇〇は真ん中くらいだった。
    ●は運動で1位を取り続けた。〇〇は真ん中くらいだった。
    ●は魔法で1位を取り続けた。〇〇は真ん中くらいだった。
    ●は広く友人を作った。〇〇は何もしなくても周囲からちやほやされた。
    当然だ。〇〇は『美しい』『純白』なのだから。

    〇〇は寝る間も惜しんで勉強したことも、吐瀉物を飲み込みながら走り込みをしたことも、魔力の使いすぎで鼻血を出したことも、友人関係で胃に穴があきそうな思いをしたことも、実際に穴を開けたこともない。
    『生き物』として優れているから。
    ●は努力しなければ、成果をあげなければ、ただ存在しているだけの〇〇に並ぶことさえできないのだ。

    でも最近、頑張れば頑張るほど、次第に〇〇がなんの努力もしないことが不快に思えるようになってきた。

    〇〇が●程でなくともそれなりに優秀な能力を持っていればこの国や教会はもっと喜ぶだろうに、どうして〇〇は努力しない?
    どうして〇〇はあの御方に貢献しない?
    ●が努力するよりも『祝福された子』の〇〇が努力した方がよっぽど喜ばれるのに、なぜ。
    〇〇は●と違って使い捨てでないのに、なぜ。

    ●ばかりが努力をした。
    ●ばかりが努力をした。
    ●は〇〇の分も頑張った。
    〇〇の分も優秀になれば影から〇〇を支え、この国の利益になれるのだ。
    そう思って、●は己の能力を磨き続けた。

    皆は●の見た目こそ哀れに思っているが、●の努力は認めてくれた。
    ●が学校で成績優秀者として表彰を受けた時、皆は●の好物を用意して祝ってくれた。
    とても嬉しかった。●は皆のことが大好きだ。
    だからもっともっと皆の役に立ちたいのだ。

    ●は皆の役に立つ者となるため、神聖アルヴィス帝国立の学校を目指した。
    国の名を背負った学校。当然優秀な成績、魔法能力が必要だ。そしてもちろん『見た目』も重要な審査項目なのだ。
    より『純白』に近いものが合格しやすい。それはこの国で最も重要なことだから。
    『純白』でない●は他の皆より合格しにくい。だからもっともっと頑張らなくてはいけないのだ。
    集中力が続く限り勉強をして、魔力が尽きるまで魔法の訓練をして、また集中力が続く限り勉強をする。
    食事の時間も睡眠時間も削った。どうしても●はこの国の、教会の役に立つ存在にならなければいけないのだから。
    それが『純白』でない●が存在していても良い理由だから。
    ●は能力が優れているから、生きていて良いのだから。

    春。合格発表の日。
    ……やった!!●は合格した!!
    勿論、自己採点では満点だったし魔法実技も他の受験者とは圧倒的に差をつけてやったけれど、それでもやっぱり少しの不安はあった。
    でもやった!!合格したのならこっちのものだ。やはり●は優れている!
    優れた能力さえあれば『純白』でなくてもこの国と教会の役に立てるのだ。そう明言されたようなものだ。
    同じく入学試験に合格した○○も笑顔でこちらに駆け寄ってくる。
    そうだ、○○も●程ではないがこの学校に入学するために頑張っていた。きょうだいらしくここは抱きしめあって合格を喜び合おう。いっそ踊ったっていい。
    それくらい今の●は気分がいい!
    「●●!よかったぁ!○たちどっちも合格してたよ!」
    知ってる。知ってるよ。だからとっても
    「●●も合格しててほんとによかった〜!ダメだったら○、この学校行かないとか言っちゃったもん」

    え、

    は?

    今、何と言った?○○は、今、何と
    「またいっしょにいられるね、●●!」
    あぁ、嗚呼、嘘だ
    嘘だ
    ●が合格したのは、●が努力したからではない。
    ○○が、駄々を捏ねたからだ。
    いや、○○は駄々を捏ねたなんて思ってはいない。自分の、『祝福された子』の影響力なんて分かっていないのだから。
    そのくせ、こんな風に、無意識に

    許せない

    これはお前が持っていていい力じゃない

    ずるい

    よこせ

    ●に全部よこせ!



    真歴××××年×月×日
    【概要】
    本国++地区、帝国立学校校舎裏にて禁術の使用を確認。
    【対象】
    ****年*月*日本国にて誕生した一卵性双生児、○○と●●。
    【経過】
    10時32分 ●●の魂、肉体の分離成功を確認。
    同時刻、○○の魂、肉体の分離成功を確認。
    10時36分 ●●の魂と○○の肉体との接合成功を確認。
    10分47分 ●●の魂と○○の肉体との適合失敗を確認。
    【結果】
    ●●の髪・瞳の色が○○の肉体に色濃く現れ、『純白』が喪失される。
    『祝福された子』の称号を剥奪。
    信仰心は高いため、処分保留。継続運用。
    『司祭』の言葉には特に従順な様子。
    観察継続。
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