暇な一日窓から湿った空気が流れ込む。湿度と気圧が何もかもダメにして、ダラダラとテレビをつけたり消したりペンを握ったり離したりするような、そんな一日だった。緩慢と動く時計の針はまだ2時を指していて、何もない一日を終わらせるつもりは無いらしい。こういう時は目を閉じてタイムスリップしてしまうに限る。
サイドテーブルにパソコンを置いて少し前のめりにキーボードを叩くスモーカーの腕を持ち上げて強引に膝を借りた。圧迫感と、人肌の温もりが心地よい。
「邪魔だ」
言葉と視線を無視して首筋をなぞる。ベッドの上でも気づかなかったホクロを見つけて引っ張ると、スモーカーの腕が乗っているあたりに強い重力がかかる。ぐえー、という醜いカエルのような声に満足したのか、またキーボードを叩く作業に集中し始めた。なんとも幸せな時間だ。
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