小さな秋の訪問者 コンコンと玄関を叩く音に次いでインターフォンが鳴る。こんな時間にと思いつつもさしたる警戒も無く玄関を開けた。
「とりっくおあとりぃーとっ!」
「うぉっ」
一字一句元気な声に襲撃され思わず身を引く。目の前にはこの時期ならではの仮装をした低学年くらいの子供が二人。一人は魔法使いというより魔女のような大きな鍔の三角帽子にマント。一丁前に立派な杖と南瓜のランタンを持っている。もう一人は白い布おばけ。ベタなお化けの被り物というよりは布団カバーをそのまま被ったかのように四角い四隅が頭の上で耳のようになっている。此方は空のバスケットを持ち控えめに俺に差し出している。
「あぁ、いやお前達親御さん……保護者は何処だ?」
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