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    メイリオ

    @mei_riorio

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    メイリオ

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    ※過去のお題お借りしてます。
    グレビリDW
    第5回お題:『お兄ちゃん』
    兄弟ごっこをするふたり

    最近アニメ化された、兄弟がテーマの人気漫画が原作のアニメ。それがすごくおもしろくて、良かったら……とビリーくんに勧めたところ「面白そうだネ!」と興味を持ってくれて、さらにそれだけじゃなくて一緒に見てくれることになった。
    深夜アニメだからリアタイするのは難しいから録画したものをテレビで流す。流行りのアーティストが歌うEDが流れる中、ピッとテレビのリモコンを操作して画面の中のキャラクターを止めると、凝り固まった身体を伸ばしていたビリーくんが、ふぅと一息ついた。

    「"お兄ちゃん"っていいなぁ」
    「ビリーくんは一人っ子だったよね」
    「YES!お父さんと二人家族! グレイは弟クンと妹チャンがいるお兄ちゃんだよネ」
    「お兄ちゃんというか……たしかに兄ではあるけど、あんまりお兄ちゃんだ、って思ったことは無いかな……?」
    「えぇ〜、そういうモンなの?」

    興味深そうな青い瞳にキラキラと好奇心の光が増す。自分の知らない情報に出会った時のビリーくんはけっこうわかりやすい。
    そう思うようになったのも、今までは隔たれていたレンズが無くなったからだけど。

    「(ビリーくんは、お兄ちゃんに憧れがあるのかな)」

    たしかに自分も幼い頃は兄がいたら…なんて思うこともあったような、なかったような。もう今の家族構成が当たり前になっていて、それに対して不満も特になかったから考えることも無くなっていた。

    「(……ビリーくんがもし、弟だったら)」

    ジッと隣に座っているビリーを見つめる。視線に気付いた深い藍が「なぁに」とでも言いたげにクリクリとグレイの色を映す。

    『グレイお兄ちゃん!』
    (お兄ちゃんって呼ばれたりするのかな)
    『もう、グレイお兄ちゃん起きて!遅刻しちゃうヨ!』
    (朝とか起こしてくれたり……いやこれは今でもしてくれてるけど……)

    弟となったビリーを実家に配置して妄想に耽ていると、自然と口角が上を向いた。

    「(きっと、すごくかわいい……)」

    特に今まで妹萌や年下萌などなかったが、そういう人の気持ちがちょっとだけわかった気がする。そういう意味でなくても、きっとビリーみたいな弟がいたら魅力的だろうな……。
    ぼんやりと架空の妄想を楽しむグレイはビリーの呼び掛けでようやくハッと我に返った。

    「ってことでグレイ」
    「う、うん、なにかな?」
    「オイラのこと『お兄ちゃん』って呼んで♡」

    ドキドキと緊張しながらも少しだけ期待していたグレイは聞こえてきた言葉に一瞬ぱちくりとまばたきをした後、思わず大声で叫んでしまう。

    「え、ええええ!そっち!?」
    「だって稲妻ボーイとか、グレイのことは兄ちゃんっぽいって言うのに、オイラの事は「てめぇは兄ちゃんじゃねぇー!」って全然言ってくれないんだもん。オイラもお兄ちゃんって呼ばれたい!」

    イーストセクターのお兄ちゃん枠は最近グレイに取られてる気がするし、オイラもお兄ちゃんになりたい!
    ソファの上で距離を寄せてくるビリーにグレイは端のアームにまで追いつめられウッと声を詰まらせた。

    「ほら、キャラクターになりきるのと一緒だヨ!グレイもそういうの好きだし……前にも二人でやったデショ?」
    「うん…………そう、だね……」

    たしかにグレイはそういった行為が嫌いではないし……むしろどちらかというと好きだ。漫画でカッコイイ台詞を見るとつい自分でも成りきって口に出してしまうし、前にビリーと一緒に成りきって遊んだ時もすごく楽しかった。楽しかったが、最後のアッ……シュに見つかった時の記憶がこびりついて離れない。
    いやでも、ビリーくんがやりたいって言ってるしな……せっかく一緒にやろうと誘ってくれたのを断るのは申し訳ない。それに僕だって、ビリーくんと兄弟ごっこをするのは楽しそうだと思ってるし……。
    よし、とグレイは腹を括って少しだけ甘えたような声を出した。

    「え、えぇと……ビ、ビリーお兄ちゃん……?」
    「どうしたの、グレイ?」
    「えっと……」
    「んー……この呼び方だといつもと変わんないな。グレイくん……うん、どうしたのグレイくん!」
    「ぐ、ぐぐぐぐぐグレイ、くん……!?」

    予想外の返しに激しくどもってしまう。身を引くグレイの身体を追いかけるように、両手を広げたビリーがあまり手入れのされていない柔らかな濃紺の髪を腕の中へと抱き寄せた。

    「(これ……)」

    前方に感じる体温と、後頭部を優しく撫でる、自分より一回り小さい手のひら。あやす様に時折「よしよし……♪」と甘い声が降りてくる。

    「(絵面的にすごくダメな気がする……ッ)」

    19歳にあやされる25歳。
    体格はそこまで大きく変わらないものの、幼い素顔を晒すビリーは年齢よりも幼く見えるせいで、より『ダメ』な雰囲気が漂っていた。

    「(うぅ……っていうかビリーくんは僕のこといくつくらいで想定してるんだろう……)」

    明らかに学生よりも下の……子供を相手にされているように感じる。
    焦るような情けないような気持ちと、しかし同時にどこか懐かしいかんじや安心するような気持ちも湧いてくる。
    一人っ子とは言っても年下の扱いには慣れているビリーのその手つきは優しく心地が良い。それが大切な人の体温なら、余計に手放すのは惜しくなる。

    「(…………。これは、なりきる遊び……だもんね。真剣にやらない方がビリーくんに失礼だ)」

    膝立ちになってグレイの足を跨ぐビリーの体躯をソファに押し倒し、アームにオレンジの頭をのせると最近真面目にやりだした筋トレでほんのわずかに分厚くなった胸板にすり、と頬を寄せた。
    とくんとくんと心臓の音が聞こえそうな距離で、いつもと逆の身長差になったビリーを見上げながら甘い声をかける。

    「……ビリーお兄ちゃん」
    「……! んふふ、お兄ちゃんデスヨ〜」

    カランカランと飴玉が転がるような楽しげな笑い声が響く。薄手のグローブに覆われた手のひらは優しく頭を撫でる、するりと長く伸びた髪を避けて項をくすぐった。

    「グレイくんは何したい?お兄ちゃんがなんでも言うこと聞いてあげるヨ」
    「え、な、なんだろう……。なんでもいいの?」
    「モチロン!ゲームでも、アニメでも……、お外に遊びに行くのもいいネ」
    「なんでも……」
    「弟を甘やかすのもお兄ちゃんの特権だもん」

    そう言うと少しだけ力を入れて抱きしめる。紡がれる声は跳ねていて、ビリーの方もこのシチュエーションを楽しんでいるらしい。グレイの思っているものとはちょっと違ったが、やっぱり兄や兄弟というものに憧れがあったのかもしれない。
    このまま……弟として甘やかされるのもいいのかも。小指の爪先ほどの欲に微睡みながらも、息がかかりそうな距離にいるグレイの奥から湧き出るのは、弟としては抱かない欲求。
    わずかに身体をよじり腕から抜け出すと、ちゅうと細い首筋に吸い付いた。ひくりと体が驚くものの、すぐに意図を察したように小悪魔のように瞳を細めた。

    「でも……兄弟だったらこういうこと……出来ないんだよね」
    「まぁ、やらないコトの方が多いんじゃないカナ」
    「だったら僕は……ビリーくんの弟じゃなくて、友人で、こ、恋人、がいいな」
    「にひひ、そっか。じゃあ兄弟ごっこはおしまいだネ」

    残念そうなセリフの割にその声に暗さは全くない。グレイの痩身の上からその身を起こすと、ソファの上で固まった筋肉を解す。

    「ん〜!でもオイラ的にはけっこう楽しかったナ」
    「……ビリーくんがまたやりたいなら、その僕でよければだけど、また……」
    「ワオ!じゃあまた一緒にやろう!」

    ビリーが抱きついて薄い唇を頬に当てキスをした。頬を差し出してきたので、慌てながらもそれに返す。それはやがて頬から額へ鼻へ……そして唇へ。柔らかなリップ音は兄弟というには色気がありすぎ、恋人だけを名乗るには友愛を感じる、恋人と友人が混じった音。
    ……やっぱり、この関係が一番いい。

    いつもの身長差に戻ったビリーを見下ろすと、大きな猫目がパチンとウインクを決めた。

    「今度は騒ぎすぎてアッシュパイセンに見つからないようにしないとネ☆」
    「うぅ……その事は……思い出したくない……」
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    れんこん

    DONE8章を経てのラブラブグレビリです……最近、グレイからの視線を特に感じる。
    ちらり、ちらりと伺うような目線。
    そして、その目線に気付いている自分も明確に彼の事を意識している。
    どき、どき、とほんの少しだけ高鳴るのは、その視線が明らかに熱を帯びているから。

     ほんの少し前、なんでもない晴天の日。ただキミと馴染みのイーストセクターの海辺を散歩して、彼の相棒とも散々戯れて。沢山笑って、お喋りをして。少しだけはしゃぎ疲れて、少しだけ背の高い「ともだち」の肩に頭を乗せる。長めの襟足が頬に触れて、ほんの少しくすぐったい。
     空の色がきれいなオレンジと、紺を孕む時間になった頃、ぽつりと隣から漏れ出た音に、しんぞうがきゅ、と鳴った。

    「……すき、だなぁ…。」

     たった一言のその言葉。それも伝えるのを意図としないような溢れ出た言葉。
    元々真実しか語れないその小さめの口は、今はその発してしまった言葉を体内に戻しでもするかのように、大きめの手で塞がれていた。
     顔は、真っ赤。
    はわ、はわ、と空気が抜けるみたいな音が漏れ出て、グレイは突然ごめん!なんて言って、オイラがもたれかかっているのに離れようとする。
     ……そんなの、逃すはずないで 5634