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    メイリオ

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    メイリオ

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    グレビリDW提出作品
    お題:「誕生日」「プレゼント」

    🧁の誕生日の予定を立てる二人

    「グレイ、今年はどうするの?」
    「……? どうするって……?」
    「グレイの誕生日だヨ!」
    「ぼ、僕の、誕生日……!?」
    「そんな驚くコト? 去年もお祝いしたんだし、今年も出来るならしたいなって思うのは普通じゃない? ……って、グレイ?」

    ビリーの呼び掛けにも気付かないグレイは、心の中でそっと手を合わせて名も無き神に感謝を述べていた。
    今までは家族だけに祝われるのが当たり前で、もちろんそれも嬉しいが、友だちから祝ってもらえるのがその”当たり前”の中に入っているのがまだ信じられない。

    「去年はゲームをプレゼントして、そのまま朝まで一緒にやったよネ♪ あ、今年もちゃ〜んと、プレゼント用意してるから楽しみにしてて!」
    「あっ、ありがとう……ビリーくん……っ!」
    「今年は平日だからさすがに朝までゲームは難しいかもしれないケド……家族とはどうするの?」
    「今回は当日の仕事帰りに寄って、そのまま泊まってから朝こっちに帰ってこようかなって話してる」
    「そっかぁ。 じゃあ前日にパーティする?ジェイはもちろん、アッシュパイセンもなんだかんだで用意してくれそうだし♪」

    自分の誕生日でもないのに、本人よりも楽しそうにパーティの段取りを考えるビリー。ゴーグル越しでもその奥の蒼穹がキラキラと瞬いているのが伝わってくる様子に、グレイは無意識のうちに自分の中の提案を飲み込んでしまう。しかし、その一瞬の陰りさえもビリーにはお見通しのようで、輝いていた瞳を細めるとパッとグレイの方へと向き直り謝った。

    「ソーリー、グレイの予定を聞いてなかったよネ。これは俺っちが勝手に言ってるだけで決定!ってわけじゃないから無理そうなら無理って言ってもいいんだヨ」
    「ちがっ! あの、そう言ってくれるのは本当に嬉しくて……自惚れてるみたいになるけど、たぶんジェイさんもたくさん祝ってくれるだろうし、それが嫌とかじゃなくて……ただの僕の我儘なんだけど……」

    胸の前で組んだ指先が、なにをするわけでもなく付いたり離れたりを繰り返す。するすると、指の間を往復するだけの動作を繰り返す情けなさを振り切って、ビリーに向き合った。
    ……この子は僕がどんなに吃っても、最後まで聞いてくれる。だから、僕も勇気をだしてちゃんと伝えないと。

    「ビリーくんがプレゼントを用意してくれてるのは知ってる。そ、それももちろん本当にすっごく嬉しくて……でも、」
    「でも?」
    「……もっと欲しくなっちゃって」

    言葉が口を離れてから、歳上にもかかわらず子供のような願いに頬がじゅっと温度をあげる。けど、やっぱりビリーはそれをバカにすることは無かった。驚きに一瞬目を見開いたものの、すぐにニッコリと笑みを浮かべる。

    「ふふっ、いいヨ。グレイの誕生日だもん、ちょっとぐらい我儘言っちゃっても全部叶えてあげる! オイラはニューミリオンが誇る情報屋だヨ?プレミア価格のフィギアでも発売後即完売のゲームでも、行列必至のケーキ屋さんのカップケーキでも、なんでも任せて」

    人よりも……たぶん歳上のグレイよりもずっと色々なことを知ってるだろうに、その表情はある意味で純真無垢で。笑顔の裏にはグレイを喜ばせたいという意思しか見えない。
    そんな彼に今から言う願い事を言ったらどうなるだろう。そう、珍しく不安以外の……期待の篭ったドキドキが心臓を叩いた。

    「それじゃあ……あのね」
    「うん」
    「ビリーくんが欲しい、な」
    「……オイラ?」
    「去年みたいに……ずっと、一日中……ビリーくんの時間が欲しい。日付が変わってから、次の日になるまでずっと……一緒にいたい。……できたら、二人きりで」
    「えっ」

    予想外の返答に、ビリーの耳がじわりと色を付ける。
    よく回る口が閉じてしまい、二人の間に沈黙が流れた。でも、気まずさなどは全く無い。
    やがて恐る恐るグレイを見上げた双眸がわずかに巡回した後、ゆっくりと口を開いた。

    「……そんなのでいいの?」
    「そっ……『そんなの』じゃないよ!」

    どれだけ一緒に過ごしたいか、夢中になって話していたら目の前で「ぶはっ、」と吹き出す音が聞こえてくる。

    「んふふ、そっか。じゃあ、俺をあげる」
    「!!」
    「二人きりがいいんだったら、どっかホテル取ってゲームとか持ち込む?食事も近くのスーパーで買って持ち込んでさ」
    「……っうん!」
    「楽しみだネ!……ってプレゼントする側で言うのもなんだけどさ」
    「ううん……僕もすごく楽しみ……うわぁ、この歳なのに誕生日が待ち遠しいよ」
    「それなら良かった!」

    金曜日の夜からホテルに泊まって、日曜日の昼過ぎくらいに帰ってくる。その日の夜にセクターでもディナーを豪華にしてちょっとしたパーティにしよう。
    トントン拍子に決まっていく予定に、去年と同じくらい、今年も一生忘れられない最高の誕生日になるんだろうな……と、胸の奥が温かくなる。

    ふと、予定や買う物などをリストアップしていたビリーがニンマリと悪戯な表情を浮かべ、スマホでその口を隠しながら笑った。

    「ところでさ、グレイ」
    「な、なに、ビリーくん」
    「ホテル、どっちの取る?」
    「どっちの……?」
    「えっちなこと出来る方と、出来ない方♡」
    「え……っ!」

    正直考えてなかったと言われればNOで。しかし唐突に突きつけられた選択肢に数秒だけ迷うふりをして、顔を赤くしながらもグレイはか細い声で前者を選んだ。
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    れんこん

    DONE8章を経てのラブラブグレビリです……最近、グレイからの視線を特に感じる。
    ちらり、ちらりと伺うような目線。
    そして、その目線に気付いている自分も明確に彼の事を意識している。
    どき、どき、とほんの少しだけ高鳴るのは、その視線が明らかに熱を帯びているから。

     ほんの少し前、なんでもない晴天の日。ただキミと馴染みのイーストセクターの海辺を散歩して、彼の相棒とも散々戯れて。沢山笑って、お喋りをして。少しだけはしゃぎ疲れて、少しだけ背の高い「ともだち」の肩に頭を乗せる。長めの襟足が頬に触れて、ほんの少しくすぐったい。
     空の色がきれいなオレンジと、紺を孕む時間になった頃、ぽつりと隣から漏れ出た音に、しんぞうがきゅ、と鳴った。

    「……すき、だなぁ…。」

     たった一言のその言葉。それも伝えるのを意図としないような溢れ出た言葉。
    元々真実しか語れないその小さめの口は、今はその発してしまった言葉を体内に戻しでもするかのように、大きめの手で塞がれていた。
     顔は、真っ赤。
    はわ、はわ、と空気が抜けるみたいな音が漏れ出て、グレイは突然ごめん!なんて言って、オイラがもたれかかっているのに離れようとする。
     ……そんなの、逃すはずないで 5634