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    kameyamakameta

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    竜骨と呼ばれるシャケとアルバイターの小話

    竜骨持ちの話竜骨の爆(仮)、強いからシャケ達からめちゃくちゃ尊敬されてて「俺も骨折ったらあんなふうになれるかなあ」なんていうシャケもいるくらいで。
    ある日出撃したら自分を見るなり全く動かなくなっちゃったアルバイターがいて「ははあ、俺の姿に畏れをなしたか」とそいつのこと無視して戦ってたんだけど

    アルバイター達を沈め切れず、もう少しだったなと思いながら海に帰ろうとしたら後ろから声をかけられて、目線だけ後ろにやればさっきの動かなくなったアルバイターがいて。
    シャケ語でもタコ語でもないからなにいってるか分かんないけど、なんか言いながら小さい箱を必死に鰭に押し付けてくる。

    顔を見れば今にも泣きそうで、「言っていることは分からないが、命乞いとかその辺だな」と思ってなんか必死に押し付けられてる箱を受け取ってやるとやはりホッとした顔をするから「無様な生き物だ」と鼻を鳴らして基地に帰って。
    別に戦利品を数える趣味はないが、何を渡されたのかと箱を開けてみる。

    海に潜ったから中身もびしょびしょになっていたけど使いたいわけでもないから気にせず中を見ると楕円や四角の紙片の様なもの。触るとベトベトするから、どうやら粘着質のものであったらしいが、こんなもの使ったことがない。
    命乞いに渡されたのだから何か捕食者には価値があるのだろう。

    そんな話を手土産に、出撃後の検診を受けに医局へ行き、顔見知りの医療班(骨折を直してくれたのもこのシャケ)に会いに行くと少し考えてから、徐に棚の奥をゴソゴソと漁って、「それはこういったものでしたか?」と見せられる。
    そこにあったのは濡れる前ならそうだったであろうあの紙片があって。

    自分は見たことが無かったが、やはり医局のものは物知りだと感心してコレは結局なんなのかと訊ねると「傷んだ部分に貼り付けて使用する医療テープです。我々なら緩衝用の海藻を挟んで包帯を巻くのと同じですね」
    なるほど、応急処置用の道具かと頷く。
    命乞いにこんなものしか渡せないなんて!

    捕食者とはどうにも滑稽な奴らだなぁとくつくつ笑っていると「…本当に、命乞いだったのですか?」と聞かれる。
    何をいってるんだ?それ以外になかろう?と首を捻ると「貴方は目立ちますから」そう言って投げられる視線は自分の目ではなくコブに注がれていて。あの捕食者もコレを見て動け無くなった。

    種族は違えど、畏怖の念は伝わるらしいと少し誇らしく思って言えば医局のシャケは、恐らくそうではないという。
    「捕食者にも、同じようにコブが出来ることもあります。しかし、それは我々と違い、忌避するものです。」
    痛みを乗り越えた証ではなく、病みついた痕を示すものだと言われる。

    では、あの顔は。あの、目に涙を溜めて、必死で箱を押し付けてきていたのは。

    『こんなの、何にもならないけど…!無いより良いと思うから…!!』

    …憐れまれたというのか?自分が?
    コレだけ畏怖され、戦に求められた自分が?
    憐みと、施しを受けたと?

    そこまで思考して竜骨は急にゲタゲタと笑う

    医局のシャケが壁際まで退いて怯えるほど、気の違った様に笑う。
    ひとしきり笑って気が済んだのか、うるさくしてすまなかった。ありがとう、お前のおかげでいいことを知れたと礼を言って医局を後にする。

    次に会ったら、あの捕食者は爆破では済まさない。何度も、何度も何度も八つ裂きにしてやる。

    この俺を憐れむなど、とんでもなかったと心の底から後悔をさせてやらねばならない。
    そう決めた竜骨が、全然あのアルバイターに会えなくてイライラするのはまた別の話。



    「おい!お前のせいでさっきのバイトクリア出来なかったんだぞ!」
    「まあ3waveまではいけたのは救いだったけどさ。もうちょっと集中してもらわないと。」
    「…すいません、オレ、今日でバイト辞めます。」
    「ええっ?!なんでですか!?でんせつまで頑張ろうって話、したばっかりじゃないですか!」

    「うん、ごめん、本当に…。でも、さっきのバクダン見たら、田舎のおじぃを思い出しちゃって…。あんな、背中の曲がったシャケまで倒すの、切ないなって…。だから、ごめんなさい…。」
    「…そっか。ま、しゃーねーな。またナワバリでも行こーぜ!」
    「そうだね!ガチマもあるし!」

    っていうことがあってこのバイトくんバイトしなくなっちゃったので竜骨はどうやって会う気なんでしょうかね….

    とっぴんぱらりのぷう
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