夢の続きが見たいのはまっさらな空間に、ただひとつだけ絵本が置かれている。
「それは、アンタ達の行く末を書き連ねた絶対的なシナリオよ。」
軽薄そうな女の声がどこからか問いかけた。まるで監視でもしているかのようにその声は男を嘲笑う。
「シナリオ、ってなんだよ」
「私様には先輩達の行動全てがお見通しなの。予想した通りに事は運んでいく…絶望的でしょう?」
威嚇するような声色の彼の質問は楽しげな少女の笑い声に遮られる。自分を認識していながら噛み合わせようとしない会話に苛立って男は舌打ちした。
「ねぇ、左右田センパイ。このままだとアンタ達みんなこの島に…プログラムに残り続けることになるけど本当にそれでいいわけ?今なら私様のご好意で全員生き返らせることもできるんだ、け、ど?」
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