お別れの前に結婚式を開く話。エー監 別れなんて永遠に来ないと思ってた。当然のようにお前がいて、一緒に笑って、馬鹿みたいなことして、からかって、抱きしめて、キスをして、それから___。
いや。わかってたんだ。目を背けてた。いつだってお前は帰る場所を探していた。自分の本当の居場所はここじゃないって、そう、繰り返していた。その姿は、一番近くからずっとみてきた。
「元の世界に帰る方法が見つかったよ。次の満月の日、元の世界に通じるんだって」
もう直ぐ冬に差し掛かろうとしていた、普通の日だった。監督生が突然この世界に現れてくれてから丸一年が過ぎて、この騒がしくて幸せな生活が当たり前になっていた頃だ。一向に元の世界に帰る方法は見つかる様子もなくて、ずっと一緒にいられる夢を描いていてもいいんじゃないかと期待をしてしまっていた。それでもその日、ぽっと湧いて出てきたような事実は確かに監督生の声で紡がれて。まさに寝耳に水だった、ってわけ。
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