1話✳︎果音サイド 照準を合わせ、引き金を引く。鋭く空気を裂きながら、銃弾は正確に的の中心を射抜いた。
ヘッドフォンを外し一息つく。射撃練習を始めてすでに数時間が経過していたが、身体の疲れはなかった。ドクターとの約束の日まで時間がない。それまでに、コンディションを整えなければならなかった。
「もうすぐ試験だけど、ちゃんと対策してる?」
「ここ最近は徹夜かな〜でも、パートナーの調子は絶好調!これなら実技は余裕で合格できそう!」
「どうせ筆記試験は一夜漬けなんでしょ?」
「過去問解いてるから余裕だよ!」
練習場に甲高い声が響く。思わず目をやると、銃を手に取った見習い兵士が手持ち無沙汰な様子で談笑していた。練習用の銃とはいえ、あのように雑に扱えば多少なり危険は伴う。
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