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    ゆるはら

    主にちょっと表では載せられないようなSSを投げる場所です

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    ゆるはら

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    髭切と和泉守兼定で審神者の取り合いする話 ※設定は玉子ふわふわよりふわふわ

    ――ここはどこだろう?
    確か本丸の廊下を歩いていたはずなのに、いつまでたっても廊下が終わらない。
    そんなはずないのになあ、とおもいながら、歩き続けても、走っても、ぜんぜん出口がない。それどころか廊下の先が真っ暗闇でぜんぜん見えない。
    「どうしよう…………」
    途方に暮れて、引き返した方がいいかな、と振り向こうとした瞬間。
    「駄目だよ、主」
    「ひゃっ!?」
    柔らかい声とともに、目の前が掌でふさがれる。聞き覚えのある声。
    「うしろの正面、だーれだ?」
    「…………髭切、さん?」
    「はーい正解」
    ぱっ、と手を離して、ばあっと目の前に現れたのは、髭切さんだった。
    「主、こんなところでいったい何をしているんだい?」
    「え、えと…………な、なにしてたんだっけ…………」
    「ありゃ?覚えていないのかな?…………それは困ったね」
    うん、と頷こうとして、ぎゅっ、と手が握られる。髭切はでも大丈夫、といつも通りの優しい笑みを浮かべた。
    「僕が、主をちゃあんと連れて行ってあげるからね。心配しないで、ついてきてね」
    「う、うん…………」
    「そうそう。いいこ」
    ゆったりと手を引かれて、廊下を歩く。確かにさっきと違う雰囲気がした。
    「ねえ、髭切さん」
    「うん?」
    「どこに向かってるの?」
    「どこって………主を連れてくべき場所へだよ」
    そうなんだ、と、深く考えずに私は歩いた。この優しい彼の手に惹かれていれば、何も怖いことはない。
    たとえ。たとえ、足場が何だかふわふわしていても、頭がぼうっとしていても、目の前にあるのは、光だから。
    ――ああ、もうすぐで、たどり着ける。
    「主は、なんにも、心配しなくっていいよ」
    「う、」
    うん、と頷いて、光まであと少しで辿り着こうというところで。
    「…………主!!!!」
    くんっと、後ろに腰が引き寄せられた。足がふわっと浮いて、びっくりして振り返ってしまう。
    ――飛び込んできたのは、浅葱色の瞳。
    「わ、あ」
    「っと、あっぶねえあぶねえ」
    後ろにいた彼の胸に飛び込むようにして、抱きとめられる。とくとくとく、と暖かい心音が聞こえた。
    「いず、」
    呼ぼうとした名前は、腕の力が強まったことで途切れた。
    「……あーあ。案外早かったね、和泉守兼定」
    「ったあく、これだから平安の刀はタチが悪ィ。なあ、髭切さんよ」
    「ありゃ?それって洒落のつもりかい?」
    洒落のつもりでやってんならいいんだけどな、と、和泉守は私を抱きかかえながら立ち上がった。
    ――あれ?
    なんでだろう。おかしいな、急に眠い。
    「言っとくけどな、オレの目の黒い間に簡単に内側に持っていけると思ってんじゃねえぞ」
    「………そうなのかい?主は別に君だけの主じゃないはずなんだけどなあ」
    少しずつ、意識が薄れていく。
    「それでも、オレは、こいつを…………」

    ――ふっつりと、記憶が飛んだ。

    目が覚めたら自分の部屋で眠っていた。
    「あ、起きましたか?」
    「え、堀川君…………」
    「心配しましたよ、主さん、廊下で眠っているものだから」
    あれ、そうだったかな、と思いながら、私は手のひらに違和感を感じた。見ると、何かを握りしめている。
    恐る恐る手を開くと、そこには。
    「………これ、って」
    「なんですか?」
    ひょこっと覗き込んできた堀川君は、みるみるうちに血相を変えて、私の手の中にあったそれを奪って走り去っていった。
    「かねさあああんん!!!」
    何だか怒ったように叫びながら。
    「そんなに大袈裟にすることないのに」
    ――掌に和泉守のピアスが入っていたぐらいのことで。

    「ちょっとこれどういうこと!?主さん誰かに狙われてるってこと!?」
    「ちげえよ、ちっと粉かけられたから牽制しただけっつーか」
    「そう言って誰かの神域に干渉したんでしょ!?また危ない橋を渡って!今度からは僕も連れてってもらうからね!」
    和泉守兼定は、にやりと笑って、そいつは困るな、とピアスを相棒の手から自分の耳につけた。
    「こればっかは譲れねえよ」

    「うーん、今度はもう少しうまくやろう」
    「兄者、また何かしたのか?」
    弟の問いに、まあ大したことじゃないんだけどね、と髭切は笑った。
    「こればかりは、僕も譲りたくないなあ」
    兄が上機嫌なのが、膝丸はそれでも嬉しかった。
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