この気持ちの確かめ方/ソハさに この気持ちの確かめ方
「主、頼みがある」
いつになく真剣な表情でソハヤ君は言った。
「な、な、何でしょう」
「ちょっと俺の手を握ってみてくれないか?」
はい?と戸惑いながらも、至って真面目な瞳で見つめてくる彼を無下にはできそうにない。「……本当にそれだけでいいの?」
「おう。頼む」
じゃあ、と、彼の大きな手に自分の手をそっと重ねる。
「……。」
「……。」
一体何の時間だろうと思いながら、彼の手を握り続ける。刀剣男士の手は刀を握る手だから、固くて、ゴツゴツしているけれど、ソハヤ君の手はそれでいてまっすぐだった。
「……なあ、主」
「うん」
「……も、もうちょい、強く握ってもらえるか」
「いいよ」
少し力を強めると、心なしかさっきより暖かくなってきたような気がした。ただ握っているだけなのに、少しずつ心臓の音が早くなっているような。
「あ、あの、ソハヤ君、これ」
ふ、と顔を上げると、ソハヤ君が顔を真っ赤にしていた。
「……え」
「……わ、るい、主。ごめん、もう、放してもらっていいか……?」
「えっ!あ、うん」
慌てて手を放した。そのはず、だったのに、いつまでもぬくもりが消えない。
「……ソハヤ、く」
放したはずの手は、逆に彼の方から握りこまれていた。
「あの」
「……ごめん。ほんっと、ごめん」
謝罪の言葉より、確かに伝わってくるのは、彼の鼓動で。
「あの、ソハ」
すると、唐突に彼が手を放して、頭を抱えだした。
「……あー……くそっ、ちょっと確かめるつもりだったのになぁ……かっこわりぃ」
「え、な、何が……?」
ソハヤ君は、ちょっと迷ったように少しだけ目をそらして、内緒、と呟いた。
「けど。……そのうちきちんと言うから、待っててくれよ」
「え、う、うん、い、いいよ」
――私の心臓がそれまで待てそうにないけど。