「キラ・・・」
「っんふ・・・・・・」
女の子だったら即死しちゃいそうな甘い笑顔で、アスランの手が僕のほっぺにそっと触れる。
そんな笑顔を僕が独り占めしていいんだろうか。
女の人に使ってこそ効果があるものなのではないだろうか。
でも、別の人にこんな顔向けたら絶対惚れられちゃうだろうからずっと僕だけのものであって欲しいなあ。
・・・なんてちょっと気を紛らわすために考えていた。
触られるのに弱い僕は、ちょっと触れられただけでも体が小さく跳ねてしまう。
だって大好きな君の大好きなちょっと大きい手に優しくそっとなでられてるなんて・・・、ちょっと照れくさい。
それに・・・・・・気持ちいい。
なんだか皮膚を通り越して自分の心の中を見られてるみたいだ。
こんなに僕が君のことを好きだなんて知られたら恥ずかしくて死んでしまう。
でも逃げたくても逃げられないぐらい僕は君のことが誰よりも大好きなんだ・・・。
僕たちしかいない部屋に、君の手から必死に逃げてるみたいに焦燥感にかられた心臓の音が耳に響いてる。
こんなうるさいとアスランに聞こえちゃうんじゃないかな・・・。
今だけアスランの耳無くならないかな・・・とかひどいことを考えていると、ほっぺをふんわり包んでいた手が、耳を軽くなでてから僕の後頭部に回った。
そのまま手に乗っている砂がこぼれていくように僕の髪を梳いていく。
この男の手は何でできているのだろうか。
それぐらいしなやかな手付きで優しく何度も僕の髪を梳いていく。
ああ、僕の髪ってこんなにさらさらだったんだな・・・と思うと、自分のめんどくさがりつつも多少は頑張ってお手入れしている日頃の努力が報われた気がした。
女の子ほどではないけど、僕も髪には一応気を遣っている。
髪も整えないと決まるはずのファッションも決まらなくなっちゃうから。
それに寝癖だらけのぼさぼさ髪じゃさすがにアスランに呆れられちゃうだろう。
・・・まあ、そんなことがどうでもよくなるぐらい、だめなところをたくさん見られてしまってはいるけど。
けど、僕の髪をそんなになでてて飽きないのかなってくらい、アスランはうっとりとどこか楽しそうにしばらく僕の髪に指を絡ませていた。
そんなに嬉しそうな顔してたら僕も聞けないよ。
いつまでなでてるの?・・・なんて。
けど、気持ちがよくてうっとりしてるのはむしろ自分の方だ。
アスランの手だけ感じていればいいとでも言うようにまぶたが視界を遮っていく。
もっとアスランの顔、見つめていたかったな・・・。
あの瞳に見つめられて溶けてなくなっちゃっても構わなかった。
だって、きっと僕の瞳も君を溶かせただろうから。
2人だけの世界に消えて飛んでいっても良かったかもしれない。
それぐらい僕の心臓は君でできている。
いつも暖かくはないアスランの手だけど、その丁寧な手付きでどれだけ僕のことを大事に思ってくれているのかがわかるから、くすぐったいけどものすごく嬉しい。
・・・もう、このままでいいや・・・。