=======================一度、帰省の際に兄の好物のケーキを買って帰ったことがある。
都市部にしか出店していないパティスリーのチョコレートケーキで
たまに仕事で遠出した父がお土産に買って来てくれていたものだ。
寄宿舎から実家へは、列車でおよそ3時間。途中都心部の大きな駅で降り、地元の路線に乗り換える必要がある。
乗り換えのため人で賑わうホームを歩いていると、見慣れた看板が目に入り足を止めた。
簡易的な店舗のショーウィンドウには、大小様々なケーキが並べられていた。
父は毎回違った種類のケーキを買ってきてくれていたが、その中でもニールはチョコレートケーキが好きだった。
艶やかなチョコレートが表面をコーティングしており、アクセントのように白いムースが盛り付けられている大きなホールケーキ。
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