王子様なんていない 小さな頃、繰り返し読んだお伽噺。生まれたときから強い魔法力を持っていたレオナはすでに使用人たちから恐れられていて、彼女に読み聞かせをしてくれる者はいなかった。
だから、多忙な兄が贈ってくれた何冊かの絵本を、幼いレオナはきれいな絵を見るために捲っていた。
いつでも愛を享受できる立場にいた兄は、レオナの処遇を知らなかったのである。それから少しずつ教育を受けることを許され、文字を読めるようになったレオナは、お伽噺の世界に憧れるようになった。
お姫様がピンチになると颯爽と現れる格好いい王子様。夕焼けの草原第一王女である彼女もまた、正真正銘のお姫様であったから、いつか自分にもそんな王子様が現れると信じていた。
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