ドラルクと付き合った翌日、俺は図書館へ訪れていた。
ロナ戦の資料はなるべく買って手元に置いておきたいが、絶版となってしまった本があるし、気になる本も試し読みが出来るから、時々利用している。
吸血鬼に関連する書籍が置いてあるコーナーに行き、資料としていつも利用している本を手に取る。そして興味を惹くものが無いか探す。
1冊の本のタイトルが目に留まる。
「吸血鬼の花よめ」。
花よめ。花嫁。吸血鬼の、花嫁。
文字を認識すると共に、昨日の夕方、ドラルクに言われた言葉を思い出す。
『前向きに私と同じ血族になる気はないかい?』
『私の幸せな花嫁として一族に迎え入れるが』
自他共に認める享楽主義者のあいつのことだ。きっと本気で言っていない。いわゆるダメ元で言ってみたというやつだ。
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