Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 399

    ちょこ

    ☆quiet follow

    アイドラ小説
    妹と世良の話

    学校終わりの夕方、世良は妹の入院している病院へとやってきた。妹の病気を治したいという思いで勉強が忙しく、中々来れなかったのだ。病室のドアをノックすると返事が聞こえる。中に入ると妹は嬉しそうな顔をした。
    「お兄ちゃん!」
    「妹ちゃん〜!顔色もいいね」
    嬉しそうに笑う妹の頭を撫でる、久しぶりに見た妹は少しだけ痩せたように見えた。それを見ただけで胸が苦しくなるようになったが、何とかおさえつつ妹に話をする。
    「あのね妹ちゃん、俺医者になろうって思うの」
    「え……?」
    「お医者さんになって、妹ちゃんの病気治すから、かっこいいでしょ?」
    「……」
    世良は応援してくれると思っていた、けれど妹の顔が段々と泣き顔になっていくのをみて世良は驚いてしまった。点滴をしても苦い薬を飲んでも泣かなかった妹が、ボロボロと泣き始めたのだ。
    「い、妹ちゃん!?どうしたの!?どこか痛い?」
    「……で」
    「……ん?妹ちゃんなんて言った?」
    泣きながら話してるからかよく聞こえず、妹の声を聞こうと耳を近づける。泣きながらも妹は言った。
    「お兄ちゃんは、真っ白な服を着ないで」
    「…………妹ちゃん……?」
    真っ白な服を着ないでってどういう意味だろうか、それが白衣だと気づくのに時間がかかった。医者にならないでと言うことだろうか。
    「なんで……」
    「……お兄ちゃんまで白くならないで」
    うー、といいつつ大きな声で泣き続ける妹。妹の言いたいことがやっと分かった世良は胸がズキリと痛む。妹は鋭く見抜いたのだろう、自分のせいでなるつもりのなかった夢を言った世良の言葉を。自分が病気じゃなかったら世良は医者になるなんて言い出さなかった。白くならないでは、恐らく妹はいつも真っ白な病室にいる、白がもう嫌なのだろう。兄まで白くなったところは見たくない……といったところか。感じ取られた事と、妹を泣かせた事と、色んな事が世良の中に混ざり、世良は妹を抱きしめた。
    「……ごめんねぇ、妹ちゃんのせいじゃないから。……ごめん」
    情けない、自分が情けない、兄だというのに情けなくて涙が溢れてきた。幼なじみの前でも泣いたというのに、妹の前では泣きたくなかった。
    暫く2人で泣いたあと、妹は世良の手をそっと握る、小さい手を握り返しながら妹がなにか伝えたそうにしていたためじっと見る。
    「……お兄ちゃんの歌が好きだから、お兄ちゃんの歌ってるところがみたい」
    「……それって……」
    アイドルのことだろうか、と世良は思った。アイドルの事かと聞くと笑顔で返事をする妹。確かに自分が歌を歌ってあげると妹はいつも嬉しそうな顔をする。
    「お兄ちゃんの歌、聴いてて凄く笑顔になれるの、お注射とかお薬とか、頑張ろうって思えるの」
    「……妹ちゃん……」
    妹の頭を撫でながら世良は外を見る、真っ白な病室からはこの狭い窓からの景色しか見れない。妹が言うように、自分の歌でならもっと色を見せれるのでは?真っ白な世界から、色を見つけてあげれるのでは。妹をそっと抱きしめながら、考えた。

    ──世良がアイドルを志したきっかけはなに?

    あの日あの時同じユニットの真に聞かれた世良は夕焼けを背に話す。

    ──妹に俺の歌で色んな世界を見せたい、だからアイドルになった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
    1309