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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    アイドラ小説
    芥くんと世良の話

    放課後、世良は困っていた。ユニット衣装の帽子のバラの飾りが取れそうになったのだ。いつもだったら幼なじみに補修を頼むのだが、その幼なじみが別件で忙しそうにしていたため頼むに頼めなかった。世良は裁縫が出来ないため自分で補修すらも出来ない。どうしようか、と少し考えて脳内に浮んだとある人物を思い出し、その相手を探すために荷物をまとめて帽子を持つと教室を出た。服飾科の教室へと小走りで走る。居たらいいのだが、と思いながら。
    服飾科につき教室の扉をそっと開ける、数人の生徒がいたがその中に目的の人物がいたため世良はそのまま教室に入ると名前を呼んだ。
    「あ!ジャン!いま大丈夫?」
    「………あ、はい?どうしましたわざわざ……?」
    少し反応が遅れてこちらに顔を向けた──芥は針山に針を刺してから世良を見た。彼は認めた相手の事をsoleと呼んでおり、世良のこともまた、その名で呼んでいた。soleの意味を知っていた世良にとっては、太陽かな、と照れたのが少し懐かしい。世良もまた、芥の事をジャンとあだ名をつけて呼んでいる、ここ最近そのあだ名で呼び始めたため、さっき反応が少し遅れていたのだ。世良は持ってきた帽子を芥に渡すと事情を説明した。
    「……ってわけだけど……」
    「……なるほど、このくらいならすぐ直せますよ。少し待って貰えますか」
    「ほんとか!?ありがとー!助かった……」
    芥は慣れた手つきで針と糸を用意すると取れかけていたバラに糸で縫っていく。縫っていく様子をじっと眺める世良、幼なじみが裁縫しているのは何度も見たことがあったため、特にこの光景が珍しいというわけでもなかったが、まるで魔法のように縫っていく様子はいつみても新鮮で見ていて飽きないのだ。
    「……はい、出来ましたよ。これで取れないかと」
    「わー!ありがと!よかったぁ、俺ほんと裁縫できなくてさー、制服のボタン縫い直そうとして凄いことになったぐらいだし」
    「むしろどうしたら凄いことになるのか興味が沸くんですが……」
    「なにかお礼……あ、そうだこれ!」
    世良が鞄から何かを取り出して芥に渡す、それはライブのチケットだった。1枚だけ余ってしまったチケットをどうしようか世良は悩んでいたのだ、誰かに渡そうかと考えていたため、もし芥がよかったら、と思い渡したのだ。芥は驚いた顔で世良をみる。
    「……えっ……!?これ……!?」
    「今度ライブするの!もしよかったら来てくれね?お礼になるか分からないけど……もしかして予定あった?」
    「えっいや予定はないですが……いいんですかこれ、俺が受け取って……」
    「いいって!綺麗に直してくれたし!……最高のパフォーマンスするからさ、見てくれると嬉しいな」
    「……あ、ありがとうございます。なら、お言葉に甘えて……」
    「お礼言うのはこっちだって」
    お礼を言った芥に少し笑いつつこれもよかったら、と紙パックのジュースを渡してそのまま教室を出た。廊下を歩きながら世良は考えた、もしライブ当日に芥の姿を見たら彼に向けてファンサでもしよう、と笑いつつ思いながら歩いた。
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