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    ちょこ

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    ちょこ

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    アイドラ
    想先輩と瑪瑙の話

    化粧品の広告の仕事が入った、それ自体は特に何もいつも通りの仕事だと思っていたが、内容を見て少しだけ眉をしかめてしまう。瑪瑙の先輩にあたり、そしてかつてユニットを組んだのだがデビューする前に解散した相手──想と対決のような内容だったのだ。簡単に言えば広告を務めた2人のうち、どっちの化粧品が多く売れるのか、そんな内容だった。対決要素を入れるのは別に構わないが、 少しだけどこか胸が気持ち悪いような、深い霧に迷い込んだような、なんとも言えない気持ち悪い気持ちが芽生えた。想とは何度も仕事を一緒にしている、相手は友好的に自分に接してくれる。そんな相手に毎回作り笑顔で接している自分がいた、もしかしたら作り笑顔なのは相手は察しているのではないかと思いつつ。
    控え室に入ると丁度想が雑誌を読んでいるところだった、入ってきたドアの音で顔を上げ、瑪瑙を見て笑って話しかける。あの時と変わらないような人懐っこい笑顔だ。
    「瑪瑙、内容聞いたけどなんだか対決みたいな感じだね」
    「……そうだね、でも周りはこういうのが好きだからね。お互い宣伝にもなるし……」
    そうだ、大人たちはこういうのが好きだ。と瑪瑙は考えた、あの時だって理由を特に伝えぬまま勝手に解散だと一方的に言ってきた大人と同じだ。こんな事思い出すつもりはなかったのに、とどこか頭痛がしたような気がした。相手となんて事ない話をしつつ考えてしまう。想は別のユニットを組んで活動すると、それは噂で知っていた。けれど、なぜ自分に一言何も言ってくれなかったのか。瑪瑙は分からなかった、相手がどう考えて、なんで自分に声をかけなくて、どうして。どうして──?
    「瑪瑙はダークレッドかぁ、瑪瑙の目の色といい合うよね。色も綺麗だし、俺も買って使ってみたいな」
    「……想はくすみピンクだね、僕は似合わないかな。ピンクはつけたことないしね」
    「えー、そうかな? 案外似合うかもよ? 」
    「そう言うのは想くらいだよ」
    想が似合うから、と笑うのにつられて笑う。笑えてるだろうか、と内心思いつつ。喉元まで出かかってる言葉を発さないように気をつけながら。

    『なんで自分に声をかけなかった? 』

    なんて突然言ったら想が困るのが想像つかなくても分かってしまう。もしかしたらこの感情は想に声をかけられた顔も名前も知らないユニットの相手に対する嫉妬かもしれないし、やはり自分では相応しくなかったという劣等感なのかもしれない。汚い気持ちだ、と瑪瑙は息が詰まりそうな感覚になる。けれど、やはりcieriにこだわっていたのは自分だけだったのだろうかと嫌でも思ってしまう。今はとりあえず、この仕事に集中しよう、と考えていた事を忘れようとするのであった。
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