放課後、教室でレミ、麗亜、零一の三人は思い思いの事をしていた。レミは作詞を、麗亜はスマホで何かしら検索をしており、零一は机に寝そべる。ふと、自分の髪を触って何か思った零一は二人に問いかけるように言う。
「ね〜、もし俺が髪切るとしたら似合うかな〜」
「え、零一髪切るの?」
「もしもだよ、もしも〜」
零一は性格的に面倒くさがりな所があり、入浴した後の髪を乾かすのがめんどくさいのだ。いつも乾かさずに寝たり、ヘアオイルをよく忘れたりする。それでいつも麗亜から怒られるため、いっその事切ったら楽になるのではないかと思うわけだ。零一の言葉を聞いたレミは席を立ち零一のそばに来る。
「もし髪を切るのなら……そうですね……」
レミは長い指を零一の腰からそっと優しく撫でるように這わせる。つつつ、とまるで何かのワンシーンかのような風景に見えつつ零一の髪をそっと触れると緩くまとめ肩までにすると手鏡を取り出して零一に見せる。
「零一ならば、この辺りかと」
「ふ〜ん……肩まで一思いにってわけ? 肩くらいなら軽いよねぇ」
「ねぇレミ、腰から触る必要あった訳? 確かに肩くらいなら零一似合いそうだけど……でも長い方がヘアアレンジ出来るし……楽しいわよ? ヘアアレンジ、私が」
そういうと今度は麗亜が零一の側までやってきてヘアゴムとクシを取り出し零一のヘアアレンジをしだした。さらりと触り心地の良い零一の髪、ヘアオイルを忘れたり乾かすのを忘れたりするはずなのになぜここまで綺麗なのか。
「……麗亜、なんか怨念感じるけど」
「……こっちは苦労して維持してるってのに……」
「麗亜、痛い。レミ〜、麗亜がいじめる〜」
「まぁまぁ麗亜」
そう言いつつ慣れた手つきで髪をまとめていく麗亜。綺麗にまとめた髪をみてスマホで写真を撮り満足そうにする麗亜。
「ふぅ、自信作よ」
「白色の髪飾り使うなんて麗亜はセンスがいいね」
「……んー……」
誇らしげに笑う麗亜と微笑むレミを見て、髪を切るのは当分考えないようにしようか、と綺麗にまとめた髪をそっと触ってどこかご機嫌に笑う零一であった。