Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 397

    ちょこ

    ☆quiet follow

    アイドラ

    よその子さんお借りしてます

    朝から撮影の仕事が入っており、遅れて学院に登校した瑪瑙。だが今日は朝から授業に出るという気分ではなかった。授業が嫌だとかそういう意味ではなかったが、どうも胸に引っかかりがあった。けれどサボるという選択肢は無かったため、気分転換がてら中庭を通って教室に戻るかと思いそのまま足を運ぶ。
    春先だからか中庭は色とりどりの花が綺麗に咲いており、見ているとどこか癒された。時間の問題か瑪瑙以外中庭にいる生徒はおらず、そのまま春に染まった中庭を通っていると前方から誰かが歩いてきていた。
    服装からして教師だろうかと相手の顔を見た時思わず止まってしまった。ややくせ毛混じりの黒髪に紫色の目をした男性。その相手の目を見たときに瑪瑙は心臓がドクリ、と重い音をあげたような気がした。まさか、あの人は、と。相手はそのまま瑪瑙の横をすれ違おうとする、咄嗟に相手の腕を掴む瑪瑙、相手はこちらを振り向いた。
    「おっと、どうしたのかな?」
    「……突然すみません、あの、もしかしてEvaってアイドルで活動してませんでしたか」
    「……おどろいたな、よくわかったね?」
    「……やっぱり……」
    やっぱり、瑪瑙はそう呟くしかできず相手の目をじっと見た。そう、瑪瑙がこの業界にはいるきっかけを作ったアイドルだったのだ。Eva、当時の面影は全くと言っていいほど感じられない。もし知ってる人がいたら目の前の相手がEvaだと言っても信じられないだろう、それくらい変わっているのだ、それほどまでに印象がちがうのだ。
    けれど、瑪瑙は目でわかった。目だけが変わってなかった、あの目を見間違えるはずがない。一方、瑪瑙がEvaじゃないかと当てられた相手は少しだけ驚いた顔をしたがすぐに表情を元に戻す。
    「きみ、名前は?」
    「……安坂瑪瑙です」
    「瑪瑙……あの宝石の瑪瑙の字で合ってるかな。ふぅん、君にぴったりじゃないかな。知っての通りぼくは元アイドル【Eva】こと江波薊、ここに赴任してきたよ。よろしく」
    「……よろしくお願いします」
    自分の憧れだったアイドルが目の前にいる、どうしようもなく心臓がうるさかったが瑪瑙は相手に悟られないように掴んでいた手をそっと離した。
    「きみ、もしかしてvisualHack持ちかな」
    「……そうですが」
    「へぇ、ぼくと一緒だ。なら授業で会うかもね? まぁ気軽に頼ってよ、まだ新任だけど先生だし。けど、きみが欲しい返答が出来るかはわからないけど」
    「新任の先生に頼るほどの案件はあいにく持ってませんね」
    「ははっ、中々面白いこと言うねきみ」
    薊は笑いつつ用事があるからと言ってそのまま立ち去る、薊の背中を見つめる瑪瑙。なぜアイドルを辞めたのか、周りは失踪したと騒いでいたというのに相手は平然と戻ってきた。まるでアイドルを辞めたのを気にもとめてないかのように見えたのだ、それが瑪瑙にはわからなかった。なぜ辞めたのか、相手の授業を取って交流すれば教えてくれるだろうか。
    「……」
    相手の背中が見えなくなった頃に瑪瑙も歩き出した。もしかしたら次の授業で薊の紹介をするかもしれない、どこか歩くスピードが早くなりつつ瑪瑙は教室へと行った。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works