放課後のアイスと 放課後、黄色、千景、日菜乃、凛の四人の委員会や部活動が丁度重ならなかった今日。黄色の勉強を図書室で教えていた。ふと、千景が図書室の壁にかかっていた時計を見ると、丁度17時になろうとしていた。確かこの後先生が会議か何かで図書室を使うはず、凛も時計を見て気づいたのだろう、口を開く。
「あ〜、そろそろ出なきゃだよね」
「え? 何かあるの?」
「そろそろ先生がここ使うから……今日はここまでにする?」
「え、ほんと? なら片付けないと……」
先程まで教科書を見て唸っていた黄色は、そう言うと筆箱にシャーペンや消しゴムをしまっていく。完全下校の時間も迫っていたため、続きは明日にしよう、と話をしながら図書室を出る。上履きから靴を履き替え、昇降口から校門へと歩く。
こうして四人で帰るようになったのもしばらく経つ、日菜乃の隣で歩いていた千景は思わず笑う。この三人とこうして過ごすのは楽しいのだ。
「ちぃ笑ってる〜。どうしたの?」
「ん? ううん、楽しいなぁって思って」
その時、丁度移動販売の車に目がいった。アイスクリームを販売している車で、その車を見た日菜乃はどこか興奮したように口を開く。
「え! あのアイス屋さん最近話題になってるお店のだよ!」
「え、そうなの?」
日菜乃は流行に敏感だ、日菜乃の言葉に足を止めて四人は車を見る。丁度フェアをしているからか、三段アイスを頼むと割引されるらしい。
「三段アイスか〜、どうせならきーたん達のアイス頼みたいねぇ」
「……俺らの……?」
「そうそう。例えば、きーたんはあのアイスたちで見るならレモンっぽいし、ひなたんはソーダかなぁ。ちーたんはチョコね」
「確かに……」
凛の言葉に思わず納得する三人。そしてアイスの話をしたからか食べたくなってくる、丁度並んでいる人たちもいないため、頼むなら今、と四人は歩く。ただ、千景は三つもアイスを食べれるかと不安があるのだが。
四人ともそれぞれ三段アイスを頼んで歩く。アイスを一口食べて千景はぱぁ、と明るくなる。どのアイスもしつこくない甘さで美味しいのだ。
「おいしい……」
「ちぃは甘い物食べてる時嬉しそうな顔して食べるよね」
「そ、そうかな……」
そんな顔をしていただろうか、日菜乃の言葉を聞いていた黄色と凛は賛同するように頷く。そんな三人の様子に少し照れてしまう。
「今からプリクラ撮りに行かない?」
「いいね、行こ行こ」
「プリ撮ったらスマホカバーに貼りたいね」
「うん、楽しそう」
そうと決まれば、と四人はプリクラ機が置いてあるモールまで歩いていった。まだこの三人と色んなことを体験して遊びたい、千景はそう思って笑った。