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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    高月
    よその子さんお借りしてます

    ##高月

    糸電話 はたから見たら異様な光景だろう。周りの人たちの視線がとある成人男性二人──瑞季と麟太郎に目がいく。二人とも顔立ちが綺麗であり、確かに目を引くのは否定できないが、人たちの目線の先は、二人の持っている"ある物"だった。

     それは、糸電話だった。
     糸電話、子供の時一度は遊んだことがある人は多いだろう。紙コップに紐を繋げて、電話のように会話するのだ。けれど、小さい子供しか遊ぶイメージしかなく、大人になってそれを使う人はいないに等しいだろう。それを前提に、成人男性二人が糸電話を使っているのだ、それは周りに注目されるのも無理がない。
    「案外糸電話、聞こえるもんだな」
    「早く報告書まとめるから言え」
     麟太郎は不機嫌そうに顔を顰めつつ、紙コップと紐で出来た糸電話に向けて話す。瑞季はそんな麟太郎の態度に気にもとめず、同じように話し始める。
     麟太郎との出会いは些細なきっかけだった、たまたま瑞季が歩いていると、女性に絡まれてる麟太郎を見つけたのだ。見てすぐに麟太郎の機嫌が悪く、言葉遣いも荒かったのをみてもしや、と思い助太刀に入ったのだ。その時から縁があるのか知らないが、こうしてたまに一緒に仕事をするようになった。
     これは助太刀した時に知った事なのだが、麟太郎は男性や恋人、または伴侶のいる女性が苦手だと知った。女性が苦手、との事で瑞季はなんとなく親近感を沸いたのだが、話を聞いた時、どうやら自分の女性が苦手と、麟太郎の女性が苦手の度合いが違うような気がした。

     あまり下手な事を言えないような気がする、と思っていた時に、自分のような男性でも一定の距離がないと無理だ、と言われた。それだと連携や話をする時に不便だ、と瑞季は考えた。
     そして、考えたゆえの糸電話に繋がったのだ。最初糸電話を差し出した時の、麟太郎のどこか瑞季の考えに顔を顰めさせ、信じられないような目をされたのだが、これで一定の距離が保てるなら、と糸電話を受け取った。
    「……姉さんと糸電話して遊んだことがある」
    「そうなのか」
     仲がいいんだな、と瑞季は遠く思う。瑞季は妹と遊んだ記憶が無い。あるのは子供の頃から、妹からはどこか瑞季を排除したい目、態度しか思い出せなかった。それゆえに、話を聞く限り仲のいい姉弟の立ち位置の麟太郎がどこか羨ましかった。
     その時、二人に声をかける人物がいた。二人が目線を向けると、自分たちと同じように高月職員だった。何か用があったのだろうか、と瑞季が見ていると、相手が恐る恐る聞き出す。
    「えーと……二人とも仲良かったんだな……わざわざ糸電話するほどに……」
     どこか職員の引きつった顔を見て、別に仲がどうのでは、と言おうとした時麟太郎が声を荒らげた。
    「仲が良くてこんなことしてるんじゃない! こいつの声が小さいから!」

     そう言って職員を睨みつけつつ、瑞季に指をさす麟太郎。声が小さい? と瑞季は思わず麟太郎を見る。それなら糸電話は悪手だ、と思いつつ瑞季は口を開いた。
    「あれ、俺の声が小さいならメールの方が見返せれるしそっちにするか?」
    「あ?」
     瑞季は麟太郎にスマートフォンを差し出す。職員は職員でなぜ最初からそうしなかった……? と思ったのだが、口に出すと麟太郎から何か言われると思ったのか、いつの間にか居なくなっていた。
     一方、麟太郎はじっと瑞季のスマートフォンを見た後に、自分のスマートフォンを取り出す。二人とも共通に同じ通話アプリを入れていたため、お互いに交換することになった。
    「これなら、お前も距離置いて俺と話しやすいな」
     確かに糸電話は不便だったな、と瑞季は思った。むしろなんで自分も糸電話にしたのか、と思わず首を傾げる。
    「ふん、何言ってるんだお前と話すことなんてない!」
    「仕事上話すことはあるだろ」
    「うるさい! 揚げ足取るな!」
     怒り出してしまった麟太郎に謝りつつ、瑞季は登録した。
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    ちょこ

    DONEよその子さんお借りしてます
    二次創作
     その日は、雨が降りそうだと言わんばかりの曇天だった。昨日の天気予報では朝から晴れると言っていたはずなのに、いざ当日になったらこの天気だ。凪は頬杖をついて窓の外の風景をぼぅ、と眺めていた。この調子では晴れそうにない、凪はそう思ったあと椅子から立ち上がり、事務所に備え付けであるミニキッチンへと向かう。お湯を沸かせるくらいは出来るミニキッチンにて、お湯を沸かしコーヒーを淹れた後、コーヒーを飲み外を眺めた。
     何でも屋に定休日はない、依頼が来れば仕事の日になるし、来なかったとしても書類作業をする。ある意味気分で休みが決まると言っても過言ではなかった。そして凪は、二階にいる八重の所へ行こうかと考えていた。八重は朝から体調が優れないように見えた。凪から見たら休んだ方がいいなと感じたため、八重を休ませたのだ。当の本人は大丈夫だと言っていたが、それでも休ませた。依頼主が来る様子はない、なら八重のところに行こうと思った。事務所は二階建てのビルになっており、凪の居る一階は何でも屋の事務所で二階は居室スペースだ。コーヒーを飲み終わったマグカップを流しに置いた後、事務所を出る。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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