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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    よその子さんお借りしてます

    ##すずこは

    レモンの味 高校の時から交流のあった御手洗 鈴鹿と付き合うようになって、幾日か経っていた。付き合う前から距離が近かったのだが、付き合ってからもそれは変わらず、違うところを言えば、前よりか琥珀のことを気にかけてるようだった。
     だが、付き合っているという事実があるからか、手を繋ぐだけですぐ照れが勝っていた。それは鈴鹿も同じなのか、手を繋ぎたかったから、と口では言ったが、顔は少し赤かった。
     手を繋ぐ、抱きしめてみる。色んなところに出かける。相手の家に遊びに行く。恋人がするような事は少しずつしていた。けれど、ただ一つ。どうしてもキスだけはまだだった。何度かするようなタイミングはあったのだが、恥ずかしさでその一歩が踏めなかった。
     なお、以前その事で二人の共通の親友である創に相談したことがあった。琥珀の話を聞いた創は、驚いていたと共に、まぁ……と少し納得した様子だった。
    「キスしてないことには驚いたけど、まー……まぁなー……」
     そういって創は琥珀の顔を見る。琥珀が、すぐに恥ずかしがるのは分かっていた。今まで恋人という恋人を作らなかったからか、それに慣れていないのは言うまでもない。鈴鹿も、告白するまでに一悶着あったぐらいだ。
    「鈴鹿、ヘタレだもんな」
     琥珀相手に緊張して手が出せてないのだろう、と創は飲み物を飲む。
    「琥珀から言ったら? キスしたいって」
    「えっ」
     創の言葉に一瞬動きを止めた琥珀。そんな様子を見て、少し呆れると共に、自分が今まで見たかった『恋愛をしている琥珀』が見れて、創は嬉しそうに笑う。
    「鈴鹿の事だし、お前が嫌だったらとか考えてそうだもん。嫌じゃないって意味も込めてさ。お前もしたいんだろ? ならお前も行動しないと」
    「……そう、だよな……。うん、受け身じゃダメってことだろ」
     創の言葉を聞いて、何か決意をしたのか、納得した様子の琥珀。ありがとう、と琥珀が言ったあと、創はニタニタと笑う。
    「まっ、結果教えてくれよなー? キスはレモンの味とか言うし」
    「……絶対言わない」
     そう言って創の頭を叩く琥珀。レモンの味、よく聞く言葉だ。恋愛小説にも載っているくらい有名な言葉と言っていいだろう。実際レモンの味なわけがない、と琥珀は思いつつ、少しだけ頬が熱くなるのを感じていた。

     そのようなやりとりがあってから、琥珀は鈴鹿の家に遊びに来ていた。一緒に飲み物を飲んで、話をする。外と違って他人の目を気にしなくていいからか、距離も自然と近くなる。
     今なら、言えるだろうか。と琥珀は鈴鹿の手を握る。突然握られたからか、少し驚いたようなかおをして鈴鹿は琥珀を見た。
    「琥珀?」
    「……鈴鹿。……キス、してみたい」
     言えた。緊張して心臓が煩く鳴り響く。鈴鹿にも聞こえてるのでは、と思うくらいに。緊張のせいで声は震えてしまったが、自分から言えた。チラリ、と鈴鹿の反応を見ると、まさか琥珀からそのような事を言うとは思っていなかったからか、分かりやすいほどに固まっており、どことなく顔が赤かった。鈴鹿は深く深呼吸したあと、琥珀の両肩にそっと手を置く。
    「……本当にしていいか?」
    「う、うん」
     琥珀も思わず鈴鹿の服を握る。とうとうするんだ、とまたさらに胸が高鳴ってしまう。
    「……あ、あー……する、ぞ……。本当にいいか?」
    「……うん」
     琥珀はそっと目を閉じる、何となくだが、鈴鹿の顔が近づいているような気がした。もう少しで触れる、といった段階で鈴鹿は動きを止める。暫くして何も起こらないことに対して、何かおかしい、と琥珀はそっと目を開けた。目を開けると、鈴鹿が固まっていたのだ。
    「……本当にいいか? しても……」
    「……」
     鈴鹿は優しい。恐らく琥珀が本当に嫌がってないか、しても大丈夫なのか、そこを心配しているのだろう。けど、琥珀からすると、最初の時に返事をしたのだから、との気持ちがなくもない。
     苛立ち、という訳では無いが、琥珀は口を開く。
    「……鈴鹿はしたくないのか、したいのか、どっちなんだ」
     思っていたより低い声がでて、琥珀は自分でも驚いていた。怒っている訳では無い、と鈴鹿に言おうとした時、鈴鹿は下を向いて小さくつぶやく。
    「……したい……です」
    「……。……鈴鹿、上向いて?」
     どことなく、落ち込んでいるように見えた鈴鹿に対し、琥珀は少し笑ってそう声をかけた。鈴鹿は恐る恐る、といった形で顔を上げた。その時、琥珀は鈴鹿の唇に触れるようなキスをした。突然の事で固まる鈴鹿に対し、軽く触れてそっと離れ、顔を赤くする琥珀。
    「……俺、鈴鹿となら、嫌じゃない、から……。ごめん、さっきの言い方、キツかったよな」
    「えっ、いや、琥珀がそういうのもわかるって言うか……。……琥珀の唇……やわかった……」
    「……ん……」
     お互い顔を赤くし、下を俯く。分かりきっていたが、レモンの味は全くしなかった。琥珀も、鈴鹿の唇の感触を思い出していたからか、自分の唇を指でふにふにと触っていた。すると、鈴鹿が声をかけた。
    「……琥珀、今度は俺からいいか?」
    「……うん、してほしい」
     ぎゅ、と琥珀は鈴鹿の手を握った。
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