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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
    よその子さん多め

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    ちょこ

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    パチコンであそぶレイフとダミアさんの話

    ドングリパチンコ「あ、そういやお土産持ってきたんだぜ」
     レイフの祖父であるレオンの屋敷で話をしている時、思い出したかのようにダミアがそう言った。待っててな、とダミアがごそごそと取り出したのはポーチだった。ポーチははち切れそうなほど膨らんでおり、何かが入っているのかは一目瞭然だった。レイフが受け取ると、ずっしりと重さが伝わった。
    「やけに重いですけど……」
    「いいからいいから」
     ダミアがニコニコしているのを横目に、レイフがそっとポーチを開けると、ごろごろ、と転がって出てきたのはどんぐりだった。まさかどんぐりが出てくるとは思わず、目をぱちくりしてしまった。
    「おー、綺麗などんぐりだな。しかもこれ、硬いことで有名なガンセキドングリじゃないか」
     レオンが一粒掴み、じっと眺める。レオンの住んでいる森の中にも、ガンセキドングリが実っている木が沢山ある。だからレイフも知っていたのだ。
    「ガンセキドングリって……投げられたら痛いやつ?」
     ガンセキドングリ、見た目は普通のどんぐりよりやや丸みを帯びているが、とにかく硬いのだ。まさに石のように固く、たまにモンスターの目に当てて目潰し代わりに使う冒険者もいると聞いた。
    「そーそー! これパチンコ弾にして遊ぶんだよ」
    「え、パチンコに?」
    「遊んだなぁ、懐かしいよ。ちょっと待ってなさい」
     困惑しているレイフを横目に、レオンが部屋を出ていってしまった。部屋を出て少しして、レオンが戻ってくる。手に持っていたのはパチンコだった。
    「パパっと作ったが、はい」
    「すげー! カッコイイパチンコじゃん!」
    「じいちゃん……」
    「本当は小さい頃のお前と遊びたかったんだぞ? けどお前は勉強とかで忙しかったからなぁ。ほら、お友達と遊んできなさい」
     子供扱いされてる……? と思っていたが、ダミアがどんぐりのはいったポーチを掴んで、そしてレイフの手を掴む。
    「ほらほら行こうぜ!」
    「え、あ、夕食前には戻りますから!」
     レイフはそう言うと、慌ただしくダミアの後を追う。そんな二人に手を振ったレオンは笑う。あのレイフに友達が出来た事を嬉しく思うと、ゆっくり立ち上がり、コップを片付け始めた。
    「レイフのじーちゃん、手がすげー器用だな。あんな短時間でこんなすげーパチコン作るし」
    「昔からそうでしたよ」
     レオンの屋敷を飛び出し、森の中ならレイフが案内する、と言って屋敷の裏の道を歩いていく。はたから見たら、長年家出をして戻ってきた領主の息子が、片手にパチンコ、どんぐりを持っているという思わず二度見をしてしまうような格好なのだが、誰もそれを言う相手はいない。
    「それにしても広い森だな」
    「先程言ったように、自然保護も目的としてるので。小さい頃は色んな植物を教えてもらいました」
    「あー、だからあんなに薬草とか詳しかったんだな」
     歩いていくと、湖に出た。森の中にここまでの湖があるのか、とダミアが興奮したように辺りを見回すと、丁度果物のなっている木があった。だが、手で届くところに果物はなく、木登りしようにも、足を引っ掛けられるような所に枝がなってなかった。
    「あの果実、美味しいですよ」
    「パチンコで落とそうぜ」
    「え、落ちますかね……」
     俺から、とダミアがパチンコを手に持ち、狙いを定め、手を離した。パチンコの扱いに慣れてるからか、丁度どんぐりは果物に当たり、ポト、と地面に落ちた。
    「やりー!」
    「凄いですねダミア」
    「レイフも出来るって、杖で狙うのと一緒だと思う。多分!」
    「多分って……」
     そう言いつつ、レイフも構えた。狙いを定めるのが難しいな、と思ったが、弓矢で構えるのと一緒か? とすぐに気づくと、即座に手を離す。
     どんぐりは、丁度果物に当たって落ちた。
    「レイフやったじゃん!」
    「案外出来ました……?」
    「実感無い感じ?」
     果物を拾った後、湖の水で洗ってから齧る。やや酸味が強いのだが、あとから広がる甘みが病みつきになる果物だ。
    「レイフって一口ちっちゃいな」
    「ダミアは大きいですよね」
     お互い齧った跡を見て笑う。あとでレオンにもお土産で持って帰ろう、と食べた後にパチコンで何個か果物を持って帰ろうと話になった。
     パチコンで落としすぎて、大量の果物を目の前にすることなど、この時の二人は知らない。
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    ちょこ

    DONEよそのこさんお借りしてます
     倒された落武者を見て終わった事を察した、里は刀を仕舞うと、燕志の元へ行く。まだ後ろ姿でしか見れてないが、息が上がっているのか肩が上下ゆっくりと動いているのが分かった。里は小走りで走ると、燕志に声をかけた。
    「えーじ……」
     里の声に気づいたのか、燕志が後ろをむく。怪我をしない日はないのではと言うほど、燕志はよく怪我をする。今もこうして、腕を斬られたのか一部服が血で滲んでおり、そこだけではなく他の所も怪我をしているのが見て分かった。これは看護班の所に連れていった方がいいな、とそう思った矢先に、燕志から唐突に抱き上げられた。
    「え、えーじ下ろして……」
    「……」
    「……えーじ……」
     これが初めてではなかった、落武者との戦闘が終わっても昂っているのか分からないのだが、こうして里の事を抱き上げるのだ。里としては、自分を抱き上げるより治療しに行って欲しいのだが、強く拒絶してはいけない気がして、あまり抵抗出来ないのだ。先程のように、一応下ろしてと言ったが、降ろされたことは無い。そうしているうちに、燕志は里を抱き上げたまま歩き出した。このまま看護班の所へ行くのだろう。
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