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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    にこく

    よその子さんお借りしました!

    まだ続く時間 今日は、ずっと楽しみにしていた日だった。普段、北凱堂と福縞という遠距離恋愛をしている、北凱堂の軍人である万糸花北統と、福縞の軍人である邦未芽郁が久しぶりに会い、遊ぶ……所謂デートの日なのだ。普段、連絡を取ったりはしているのだが、遠距離恋愛、中々会う機会がなく、ましてやお互いに他軍の軍人。何が起こるかわからない、周りにも中々言えない関係とも言える。芽郁自身、福縞で北統との関係を知っているのは、自分の親友だけだった。
     今日の日のために、服などを新しく買ったのだ。親友からはすごく似合う! と言われて照れたのだが、北統からも会ってすぐに似合う、と言ってもらい、嬉しかった。北統と手を繋いで街を歩く、北統は必ず手を繋ぎ、芽郁を歩道側に歩かせ、北統自身は道路側を歩く。そして、芽郁が人にぶつかりそうになった時は、北統からそっと抱き寄せられる。その行動一つに、芽郁は照れてしまうのだ。北統が自分のことを大切にしているのが身をもって分かるからだ。
     楽しい時間は、あっという間過ぎるのは本当だ。夕方、芽郁はスマートフォンで時間を確認すると、チラリ、と北統を見る。北統が帰ってしまう時間が迫っているのだ。北統は日帰りで来ていたからか、泊まりの準備などしていないのは分かっていた。けれど、ここで北統が帰ったら、会うのはいつになるのか。今日会えたのも前あった日から日にちが空いていた。遠距離恋愛だから、と分かってはいるのだが、寂しい、という気持ちが芽生える。
    「……芽郁、どうした」
    「……え」
     北統から声をかけられて気づいたのだが、どうやら無意識に北統の服の裾を掴んでいた。北統がじっ、と芽郁を見る。芽郁は思わず下を向いたあと、小さく呟いた。
    「……まだ、一緒にいたい……」
     言ってしまった、と芽郁は顔が熱くなってきた。泊まりの準備をしていない相手に、もしかしたら困らせてしまったかもしれない、と慌てていると、北統が話した。
    「明日帰る、だからまだ一緒にいれる」
    「……え、いいの……?」
    「いいもなにも、俺はまだ離れたくないと思っている。明日は予定もないしな」
     思わず北統の顔を見た。北統が嘘をついている様子はなく、真っ直ぐ芽郁を見ていた。
    「離れたくないと思っていたのは、俺だけか?」
     その言葉を聞いた時、胸が高鳴ったような気がした。
    「ち、違うの。わがまま言ったかも、って……」
    「俺は、わがままも言わせない恋人になるつもりは、ないんだ。それに、これくらいならわがままとも思わないから、もっと言えばいい」
     北統の言葉の一つ一つに、胸が熱くなった。そして、芽郁は思わず北統の手を握る。そして、北統に向けて笑った。
    「……北統くんと、一緒にいれるの……うれしい」
    「……俺もだよ」
     北統も笑い返し、芽郁は北統の笑顔を見て、また顔を赤くしてしまった。そして、手を握り返し、夕焼けの色に染っている街中を歩いた。
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