お花見に行こうよ!と朝から上機嫌に声をかけてきた梨宮さんと向かったのは公園。
桜並木も綺麗だけど今の時期は違う。
俺の誕生花のひとつ、桃の花が咲き誇っている。
昔のことを思い出しながらボーっと見ていると彼女が嬉しそうに桃の花に駆け寄り俺の名前を呼ぶ。
「ねぇ、慶くん写真撮ろう!2人でも撮りたいんだけど慶くんだけでも撮ってい?」
こちらを見上げるようにおねだりする梨宮さんはとても可愛い。
もちろんいいよと返事をすると早速と言った感じにどうやって撮ろうかスマホを両手に持ちこちらにカメラを向ける。
「こっち見ても良いしモデルさんみたいにポーズとってもいいよ♡」
「ははっじゃあ格好良く撮ってよ?♡」
「もちろん!任せてよ!じゃあ撮るよ~」
カシャッ
「ねぇ慶くん!すっごく格好良く撮れたよ?本当にモデルさんみたい♡」
こちらにスマホ画面を向けながら駆け寄ってくる梨宮さんの腕を掴みそのまま抱き込む。
「どれ?見せて…ははっ、カメラマンが良かったのかな?次は2人で、だよね♡」
大人しく腕の中にいる収まっている彼女を見やると顔を真っ赤にさせていた。
俺の言動で表情をころころ変えるのを見るのはいつだって楽しいし愛おしい。
そのまま吸い寄せられるように頬に口付けをするとますます顔を赤くさせた梨宮さんがこちらを睨みつけるように頬を膨らませた。
「慶くん、ここ外…!誰か見てたら…」
「大丈夫だって、誰も見てないよ?ほら、2人で撮ろ」
今度は俺がスマホを持ち桃の花と2人が収まるように撮るとまだ顔を赤くさせたままの梨宮さんとそんな彼女を見て表情が緩んでいる自分の姿が画面に収まっていた。