Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    dq10_noah

    アストルティア&エオルゼアなどのネタバレあり腐向けありな落書きをポイッとします。わりと容赦ないのでご注意を。クロスオーバーやR18もあります

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 90

    dq10_noah

    ☆quiet follow

    ティア5.2前半の小話
    彼女の『光』のカタチは

    渚の乙女 暗い昏い闇の中にいた私を連れ出した光。
     それは優しく揺らめきながら、闇の中を優しく照らした。
     時には眩しくて、時には柔らかくて、輝く強さを変えながら絶え間なく揺れる光。とてもあたたかくて、でもどこか寂しくて、それでも惹き付けてやまない光。
     それを何に例えていいのか、当初は分からなかったけれど。
     アスバルを追ってアストルティアへ向かった時、ほんの少しだけ見たもの。
     魔界とは違う色彩のものが、彼女らしいと思ったの。

    ○●○

    「ナディアはなんだか、海、みたいね」

     アスバルの計画に従って、明日のために泊まった宿屋のお部屋。湯浴みをして、ナディアに髪を解いて貰いながら、私はそう告げていた。
     当の彼女は驚いたのかしら、小首を傾げたのがわかったわ。

    「海……?確かに好きな服の色が海っぽいって、アストルティアだとよく言われてたけど、魔界は赤だよね?」
    「ううん、そうじゃないの。アストルティアのヴェリナード……だったかしら?そこで少しだけ見えた景色が……青い海が、ナディアだと思ったの」

     本当はしっかりと近づいて、見たくて、スケッチもしたかったけれど、遠くから眺めるだけでも印象に残った、晴れた青い空と、青い海。優しくこの世界を満たす、生命の水。
     アスバルと王子様を追って訪れた、あの水が満ちる遺跡でも見ることができた、水から溢れる不思議な光の輝き。
     それがあなたなのだと、私はそう言ったの。

    「闇の中で私を照らした光も、あの遺跡の中で揺らめく光のようだったわ。ナディアはきっと、水の光なのよ」
    「そ、そうかな?……でもね、その光は誰かが照らしてくれなきゃ見えないものだよ」

     はにかんで笑っていたナディアの声が、ふと落ち込んだわ。
     不思議に思って振り返れば、ナディアは少しだけ元気がなかったの。

    「海……つまり水はね、照らされた光を受けて輝くの。水の中でとても綺麗に見えた光も、本当は太陽とか、ほかの光を浴びて輝くんだよ。だから、私の持ってる光がイルーシャを照らしたと言うより、きっと私の隣にいた人の光が私の中にあって、イルーシャを導いたと思うの。……あの人は、それだけ強いから」

     話すナディアの目は揺らいでいたわ。その人のことを本当に思いやっていて、でも切なく思っているのが、とてもわかる。
     でも、あの時……。

    「私を導いてくれた光は、間違いなくナディアだったわ」

     ナディアは緩く顔を上げ、目を瞬かせていた。その手を取り、私は微笑んでみせる。

    「ナディア、あなたは強いの。とても、とても強くて、とても優しいの。私を照らしたその光は、紛れもなくあなた自身のもの。海の輝きのように、私を照らしてくれたのよ」
    「イルーシャ……」
    「だから、自信を持って。あなたは、あなたのままでいいの」

     きっと、あなたの隣にいるはずの、強い光の人も、あなたの光に何度も助けられているのだから。
     私は不思議と、確信を持ってそう思ったの。

    「……ありがとう、イルーシャ」

     涙を浮かべて、くしゃりと笑ったナディア。
     水の輝きのように、少し不安定だけどしっかりと届く優しい光。

     やっぱり私は、あなたの光が……あなたが好きよ。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works