まろんじ 主に作業進捗を上げるところ 今は典鬼が多い ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 548
まろんじ☆quiet followPROGRESS星の声12 ##宇奈七 目が覚めた後、医師や看護師たち、コーキノとマヴロから聞かされた話を統合すると、こうだ。 俺は、アスプロが死んだと聞いた途端、何も言わずにナイフを取り出した。最初は胸を、そして腹や脚や、顔や首、とにかく体中をナイフで刺して傷つけたという。 途中から何事かの言葉を泣き叫んでいたが、コーキノとマヴロは俺を抑え込むのに必死で、よく聞き取れなかったと言っていた。「オル──何とか、と言っていたが」とコーキノが何か聞きたげにこちらを見ていたが、俺はただ俯いていた。 この自殺未遂により、俺は視野の半分ほどを失っている。見えている部分にも負担がかかり、何十年か後には見えない部分の方が多くなる可能性が高い。 それから──。「子宮の損傷が激しく、手術を行いましたが……」 腹の子は死んだ。いや、俺が殺した。 俺は黙って話を聞き、それから感謝の言葉を述べた。医師たちが、俺の病室を出て行った。 ──どうして、生き残ってしまったのかな。 そう思わないではいられなかった。 自分だけ──一人だけ生き残って、何の意味があるというのだろう。四騎士はあの任務を最後に解散が決まっていた。俺の、本来ならば俺と奴の国外での身分も用意されていた。国外に小さな住まいを持って、子が生まれるのを待って、生まれた赤ん坊と一緒に奴を毎朝見送って、毎夕出迎える。そのような暮らしは、もう望むべくもない。突然、一人で取り残されたように感じられて、俺は病室で一言も発さないまま、看護師たちの言う通りに日々の生活を送った。包帯だらけの人形か、もはや屍のようだった。 数日して、コーキノとマヴロが病室を訪ねてきた。「今までの仕事からは足を洗う。クロロスも来ないか。当面の生活には困らないだけの金が、組織からは一人一人に用意されている。お前も、退院した後のことが決まっていた方が安心だろう」 コーキノは言った。マヴロも、頷いていた。だが、俺は視線をベッドに起こした上半身から自分の膝に向けたまま、「考えておく」とだけ答えた。 本当は、何も考えるつもりなどなかった。隙あらば、死のうと思っていた。 病院側も自殺のリスクの高い患者と見抜いたのか、そういったことに使えそうなものは一切、身の周りに置かれていなかった。食事のフォークでさえついて来ないのだ。 俺が病院で暮らすうちに、あの任務に出かけた日から一ヶ月が経過した。そして、奴が死んでからひと月を迎えた。 奴が死んでから。いや──俺が奴を死なせ、俺が腹の子を殺してから。 そう思ったとき、俺は自分が生き残ってしまった理由を悟った。 俺は人殺しとしてしか、生きられないのだ。逆に言えば、人殺しである限りは、生きていられる。俺は、夫になるはずだった男を死なせ、生まれて愛されるはずだった子をこの手で殺した。自分をも殺そうとした。だから、生き残ってしまった。 全ては俺が勝手に結論づけたに過ぎないが──こんな皮肉があるだろうか? 自分を殺そうとした行為が、自分を生かすことになるなんて。 それから間もなく、俺は決めた。 一生を人殺しとしてのみ生き、アスプロと生まれた子を死なせたことを償う。 罪ではないことは分かっていた。だが、俺の命はこの先、彼らへの贖罪のためにしかあってはならないと──そのときは思っていた。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow まろんじDONE2024/04/29書けたSS 496 まろんじPROGRESS2024/04/28悩み事(仮題)後から加筆(挿入)した部分 1199 まろんじDONE2024/04/28書けたSS 1168 まろんじDONE2024/04/27書けたSS 1002 まろんじDONE2024/04/22書けたSS 674 まろんじMEMO2024/04/21巨女お姉さんについてのメモ 911