あなたのため千空は森の中で一人、草を集めていた。
復興へと向かう今日、服も石化前の時代のようになりつつあるなか、人類を救うと石化の謎へと仲間と歩んだ頃の懐かしい服を身にまとい、陽が差し込んでキラキラと輝く緑に目を凝らす。
きょろきょろと見渡し、見つけては嬉しそうに大切に摘んで腰の袋に入れた。ひとつ、またひとつと摘みながら森の奥へと進んでいく。進むにつれて陽が届かなくなり緑が暗くなる。足首で感じる空気も少しずつ冷たくなっていく気がした。暗い緑の中、キラキラとしたものが目に入り、あった!と喜びで声を上げながらしゃがんで摘もうとしたとき
「そっちは危ないよ」
知った声に呼ばれ、肩がぴくりと反応した。
「帰ってきてたのか」
迷わず振り返って返事をすれば、小さな川を挟んだ先に思った通りの人がいた。スーツ姿にマントを羽織るその姿は、森が似合うようで似合わない。
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