ニキマヨ ワンドロ「毛布」「指先」 隣で眠る人よりも先に起きたこの時間が好きだ。
彼が朝に弱く自分が強くてよかったと思う。
柔らかな毛布に包まれて、やすらかな表情を浮かべている彼を見て、自然に表情がほころぶ。
普段困り眉を見ることが多いから尚更。
ゆるむ眉間の真ん中を人差し指で軽く押した。
朝の、まだ寒い冬の部屋。
この大きな毛布の中には、二人の体温が溶けて快適だった。
柔らかな手触りも、同じものに包まれている安心も。
はじめは別々の布団で寝ていたのだが、寒いからと理由をつけて同じところに入ってくることが増えた。
どうせ同じところに入るならと、大きな毛布を買ったのはこの冬の始まりのころだった。
それによって寝顔をみるハードルがまた一つ下がったことは嬉しい誤算だった。
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